長谷川達はゲームからログアウトをした、そして、帰る前に食事をする事にする。
もちろんお昼に使用したあの部屋を使用した、晩御飯なだけあり、色々と豪華なセットメニュー。
各々頼んだ物が到着して、晩御飯の始まりだ。
「お疲れ様」
「今日はお疲れ様っすね~」
「お疲れ様でした」
「お疲れ兄貴、姉貴、てか姉貴機嫌がいいね、どうしたのさ」
「へっへっへ、いや何、へっへっへ」
「……聞いた私が馬鹿だったかも」
あゆさは呆れていた、それはそうだ。
現実でもゲーム内でも、時と場合は選ぶとしても。
彼女の兄、将来姉になる人物はイチャイチャしているのだから。
「まあまあそう言わず、長谷川君と今後の方針を考えたのだよ、あ、ゲーム内ね」
「あらまあ、聞かせてもらおうかしら」
「結婚式に向けて準備します!」
「……兄貴、リアルの準備は?」
「夫になる覚悟がまだ無い、現実とゲームは違うだろ」
「そうなんだけど、モヤモヤする、で、結婚準備って何をするのさ」
妹の意見ももっともだ、ゲームよりも現実をちゃんと考えるべきと。
ただ長谷川の考えは、今は恋人を楽しみたい、これは荒野原も了承している。
日々の繰り返しの日常の中で、お互いの理解を深める。
ゲームはその手段の一つだ。
妹と夫婦と話した内容はたいした事は無い。
縁と結びが結婚式に向けて、ゲーム内で色々と準備をする。
そしてそれと同時に、桜野学園の先生として力をいれる。
そんな話をしながら、晩御飯の時間を楽しんだ。
晩御飯の後、帰り支度をしてロビーへと長谷川は向かう。
一足先に、妹の夫
「お兄さん、お疲れ様です」
「紅林さん、お疲れ様」
「あ、今のうちに渡しておこう」
「え?」
長谷川は鞄から封筒を取り出して、紅林に渡した。
少々分厚そうで、現金が入っていそうな雰囲気だ。
「はい、今日の車代」
「え、えぇぇ!? いや、いいですよお兄さん」
「そうはいかん、運転させといて何もなし? ありえないだろ?」
「今日凄くいい思いしましたから、いいですよ」
「まあまあそう言わず、妹をこれからもよろしくお願いいたします」
「それはもちろんです、わかりました、ありがたく頂戴します」
その後は紅林の運転する車で帰宅。
今日はちょっとだけ、日常に存在する非日常を体験した一行だった。