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第二話 幕開き 本当の兎術

 縁と結びは桜野学園の廊下を歩いている。

 これから自分のクラスの授業が始まるからだ。

 そして、今回は本格的に縁主体の授業の開始。


「久しぶりの学校だ」

「今日は全員出席しているよ~」

「そうなのか」

「縁先生の本格的な授業だからね~」

「ああ、頑張るよ」

「気楽にやるといい~」


 教室に入る生徒達が二人を見る。

 絆、ツレ、ファリレント、未来、一本槍、石田薬味やくみ、石田守善しゅぜん

 縁達は教室へと入り、教壇に立った。


「よっしゃ、全員揃っているね~私てか縁にちょっかいをかけてる奴らをぶっ飛ばしたからね、これで縁も先生に専念出来る」

「……しばらく見ない間に、皆成長したな」


 縁はざっと生徒達を見て感心していた。

 その中でも、一本槍の成長がずば抜けていた。

 あの時、本気の結びとやりあった一本槍。

 旅の修業の成果がでたのであろう。


「あ、一本槍は休学して旅に出てた間の、レポート提出しなさいよ~」

「はい、風野音先生」

「んじゃ、縁先生どうぞ~」

「ふりが雑だなぁ」


 とは言いつつも本格的授業は初、縁は縁なりに緊張していた。

 それと同時に今更ながら、自分が教えていいものなのかとも考えている。


「んじゃ、本格的な兎術を教えよう、昔教えたのは誰でも出来る技術、まあ科学と一緒だな、こうすればこうなると、だが本来は違う」


 印を結ぶ、魔法陣で呼ぶ、それらは学習すれば誰にでもできる。

 だが縁は神、神の技は理解不能だから神なのだ。

 神そのものには無理でも、近しい事は出来る。


「神の技は理解出来ない力、それを人に当てはめるなら、他人に理解させない方法だ」


 縁は指を鳴らすと、一羽の兎が教壇の机に現れた。

 神様モードの縁と、同じ和服を着ている白い兎。

 凛々しい顔立ちで生徒達を真っ直ぐ見ていた。


「これが俺の兎術、名は『身丈みたけ』だ」

「おお、可愛い~」


 結びは身丈を抱っこした。

 すると凛々しい顔がほんの少しだけ、ふにゃっとなる。


「よし、訓練場に移動しよう、召喚の手段を教える」


 縁達は学園の訓練場へと向かうのだった。

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