学園の訓練場にやって来た縁達。
縁は生徒達に向かってハッキリした口調で言った。
「始める前に聞いてほしい、俺は正直、なんとなくで副担任をしていた、理由は結びさんに頼まれたからだ、だが」
縁はウサミミカチューシャを外して、神様モードになった。
「俺も『教える』という覚悟を持った、だからこそ『神に教わる』って覚悟を持ってくれ」
「お、約束事かな~?」
「ああ……一つ、俺の技を使って好き勝手していいが、俺の責任にするな」
「あ~居るよね~人のせいにする奴」
「一つ、結びさんも言っているが、学生までは無償で守ってやる、それ以外は対価をよこせ」
「私のクラスにはバカは居ないから、神にお願いする事がどういう意味かわかるでしょ」
「一つ、これも結びさんも言っているが、不必要に危ない真似はするな、俺と結びさんのイチャイチャを邪魔するな」
「危ない事をする時は、ちゃんと事前に連絡してね~」
危ない事、この言葉に反応したのは、一本槍、ファリレント、ツレだ。
未来の預言で、危ない事が起こると分かっていた。
それに自分の意志で突撃し、結果的に縁と結びに迷惑をかけた。
無論、その後に怒られた『二度目は無い』と。
「小言はこれくらいにして、授業に入ろう」
縁は地面に手を当てて、魔法陣を作った。
「兎術は自分自身を映し出す、難しい事は無い、自分自身を見つめ直す為の魔法陣だ」
「お兄様……コホン、縁先生、私が最初にしても?」
「ああ」
絆は魔法陣の上に立って、静かに目を閉じて呟いた。
「おいでなさい『
魔法陣が光って表れたのは、絆と同じゴスロリ衣装で黒い兎が表れた。
優雅に縁達にお辞儀をしていた。
「皆様、難しく考えずに、自分自身を理解して下さい、そしてちゃんと名を与える事ですわ」
「では次は私にやらせていただきます」
ファリレントが魔法陣へと入り瞑想をした。
すると、トライアングルの音色と共に、白と黒のぶち模様の兎が現れた。
トライアングルを持っていて、楽しそうに鳴らしていた。
「うわ! いきなりでビックリした……あ、な、名前……あっちで決めようね!」
ファリレントは魔法陣から、兎を抱えて出た。
そして次はツレが魔法陣へと入った、難しい顔をしながら兎術と呟く。
すると、茶色の毛並みに死神の鎌、デフォルメされたガイコツのお面をおでこに付けている。
ツレが召喚した兎は、肩へとささっと登った、ふふんとドヤ顔をしてる。
「お、死神の兎? 名前は……よしよし、移動して決めるか」
ツレは魔法陣から出た、次は未来が魔法陣へと入った。
未来は水晶玉で占いを始めた、するといつの間にか、未来に似た兎が同じ事をしていた。
絵に描いた様な占い師の衣装に身を包んだ、ねずみ色の兎が足元に居た。
未来は少しビックリして、しゃがんで兎と目を合わせた。
「私は未来、あなたの名前は……はっ! 『導き』にする」
導きと名付けられた兎、誘導するように未来と共に魔法陣から出で行った。
今度は石田夫妻が、ゆっくり魔法陣へと入っていった。
2人は手をつないで瞑想をすると、白と黒、茶色の毛並みの兎が二羽が表れた。
一羽は
もう一羽は僧侶の衣服を身にまとい、何故かバケツをかぶって錫杖を持っていた。
「あらあら、可愛い兎さんだこと、お荷物重くないのかい? お名前はあっちで考えましょうね」
「……ふむ、虚無僧? なのか? 何故……バケツなんじゃ?」
二羽の兎と共に、石田夫婦は魔法陣から出た。
最後に一本槍、既に彼の兎術の『継続』は一瞬に歩いていた。
「縁先生、僕には継続が居ますが……どうすれば?」
「一本槍君はステップアップ出来るな」
「え?」
「言っただろう? 自分自身を映し出すと、今一度自分を見つめなおすといい」
「はい」
魔法陣で一本槍は、今一度自分自身を見つめなおした。
すると継続は光に包まれた、光が収まるとハチマキを巻き、紺色の武道着を着ている。
回歴流創始者、
一本槍の二代目としての覚悟を表しているようだ。
継続は軽くパンチとキックを繰り出した、やる気満々のようである。
「おお! とりあえずここから離れるよ、継続」
一本槍と継続は魔法陣から出たした後、縁が少し大きく声を出しす。
「さて今日は皆、自分の兎術と対話をしてくれ、俺は見て回る」
結びが縁の肩を、右手の人差し指でちょいちょいと突いた。
「ちょいちょい縁さんや」
「どうしたよ結びさん」
「私は?」
「やってみよう」
「おうよ、魔法陣に入って……『血風』おいで」
赤い毛に今の結びと同じ武道家を着た血風が表れた。
現れたと同時に、縁の足元に居た、身丈に向かってダッシュ。
両手を広げてダイブした、身丈は血風を受け止める。
イチャイチャしたい血風と、それを制止する身丈。
縁と結びの何時も通りの光景だった。
「……結びさんらしいな」
「はっはっは、そのまま返すよ?」
その通りで、身丈の顔は幸せそうに笑っていた。