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第三話 幕開き 一本槍のちょっと過去へ

 縁は桜野学園の職員室に居た。

 職員室や学校にいる時は、何時もの神様モードで職員室に居たのだが……。

 他の先生方や生徒達から、少々苦情が来てジャージ姿に居る事に。

 縁の神としての力が少々強すぎて、後光やらギャップやらに戸惑う生徒達が少なからず居た。


 やる気を出した縁だったが、いつも通りが一番だと思う事にした。

 そんな縁は、分厚い紙の束を目の前に悪戦苦闘している。

 隣で作業していた結びが声をかけた。


「……ふーむ」

「縁君、どうしたのさ」

「あ、いや……一本槍君のレポートが分厚くて」


 縁の目の前分厚い紙の束は、一本槍のレポートだった。

 このレポートは、桜野学園を休学して旅に出ていた時のレポートだ。


「ああ、縁君は読むのは始めてだったね~彼は何時もそうなのよ、要点だけでいいとは言ってるのだけど」

「これ……論文じゃん」

「ふーむ、あ、こう神器かなんかで過去を見れないの? 干渉じゃなく見るだけね」

「ああ、過去に飛べて一切の干渉は出来ない、映画見るような感じのものがある……実際に過去に行くから映画ではないか」

「おお、便利な物があるじゃん」

「……せっかく提出したのに、それを使うのか?」


 結びはニヤリと笑って縁を見た。


「私は気になるのだよ、一本槍が強くなった理由、私と戦ったあの時……本気で私を殺そうとした、何時もだったら甘っちょろい考えしてたんだけどね~」

「そいや……回歴かいれき流創始者、逍遥しょうようさんの魂を封じた巻物が、燃やされたとか言ってたな」

「燃やされた経緯も気になるし、どうやって短期間で前の私……風月くらい強くなったのか気になるし」

「ふーむ」

「レポートはちゃんと後で読めばいいし、まあ私はもう読んだけども」

「おおう、まあ……んじゃ過去の映像見てみるか」

「お、やったぜ! 何か準備必要?」

「特に必要ないけど……授業どうすんだ?」

「ああ、私のクラスは今日シーナ先生に任せてある」

「え?」

「私は力技の授業しか出来ないからね、こう教師らしい授業をたまに任せてるのよ」

「おおう……」


 縁はそれで先生が務まるのか? と、言いたくなったが止めといた。

 今はそのクラスの副担任をしているからだ、ツッコミを入れるのはヤボだろう。


「とりあえず早速向かおう!」

「ああ、わかった」


 縁が鞄から虫メガネを取り出して、レポートを見だした。


「おお、虫メガネ?」

「これでうつした物……てか見たモノ時間のを調べる道具だ」

「名前は?」

「無い」

「え? 無いの?」

「案外神器等の名前は……人間が勝手に付けたものかもな」

「ああ、花の名前も勝手に付けるからね~ちょっと説得力があるね~あ、じゃあ私が命名していい? 名前があった方がいいでしょ」

「お、センスが問われるか?」

「カコミール」

「シンプルだな」

「名前も決まった所で行こうか」

「ああ……身丈」


 縁の兎術、身丈が懐中時計を持って現れた。


「え? 身丈君が連れてってくれるの?」

「案内役だな、ま、演出みたいなものだ」

「おお、不思議の国のアリスみたいだね~……って、演出って言わない」

「そりゃ失礼」


 身丈が懐中時計を掲げると、光に包まれて縁達は消えた。

 身丈自身には過去の映像を見るとかは出来ないのだろう。

 つまりは縁の能力なのだろうが……

 きっと縁は理解出来たら神ではない、と、はぐらかすだろう。

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