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0113 Gカップのあれ

「ああああああああ」


坂本さんの悲鳴です。手足がブルブル震えて、渾身の力で耐えているのがわかります。

ヒマリちゃんと愛美ちゃんは、相手の大男より素早く動いて、相手を翻弄しています。

危なげなく戦っています。

あちらは大丈夫そうですが、問題はこっちです。


「ひひひひひっ!! てめーは、八つ裂きにしてやる」


エスパー江藤は、一段ギヤを上げたようです。


「あっ、あっ、ああああーーあーー」


私は心配でなりません。

思わず、とうさんを見ました。


「うーーん、あのコスチュームは全身にぴったり張り付いて、エロすぎるよなーー。やっぱり、ちょっぴりエッチ位じゃ無いと駄目だよなーー! そうだ、スカートを付けて、白いパンツを着けると良いんじゃ無いかなー。昔のヒーロー番組は皆、女の人はミニスカートでパンツ丸出しだったよなー。スカートはそのまま出来るけど、パンツは無理だよなーー。白い色は表現出来ないからなーどうしよー」


と,とうさんは心の中で考えないといけないことが、口から全部出てしまっています。


――こんなピンチな時に何を考えているのー


ガ、ガッカリです。


「ぐおおおおおーーーー、くそーーー!! なんで引きちぎれねーーんだー!!」


エスパー江藤が少し苦しそうになりました。


「ああああーーーん」


坂本さんも相変わらずつらそうです。


「やっぱり変身後に、自分で真っ白なパンツをはいてもらわねえといけねえよなーー。頼んだらやってくれねえかなーー。コスチュームの上からはくんだから、見られても大丈夫だし、臭くも汚くもならねえ。清潔なままだ。動きに合せてチラチラ見えると、やっぱりいいよなーー。コスチュームの上と分かっていてもいいよなー。テニスとかゴルフのあれと一緒だよなー」


――まさか、私はとうさんの心の声が聞こえているのでしょうか。


「あ、しまった。心の中と、言葉が反対だった。くそーー大丈夫かなー坂本さん。心配だなーー」


ど、どうやら、こ、心の中と、口から出ている言葉が反対だったようです。


――そ、そんな事ってありますーー!?


「とうさんは、坂本さんの苦しむ姿を見て、そんなことを考えていたのですか」


「はわわわわ、何でわかったの?」


「口から全部出ていましたから……」


ヘルメットで顔は、見えませんがなんとなく、慌てている顔が想像出来て笑えてしまいます。


「なあ、あずさ、あずさなら頼んだらやってくれるか?」


「はわわ、小学生に聞きますかそんなことーー!!」


「あー、ごめん。失言だ」


「うふふ、とうさんに頼まれたら、やります。コスチュームの上だから恥ずかしくありません」


「そ、そっかーー!! そうだよなー!」


ヘルメットで顔が見えませんが、きっと、とってもいい笑顔になっていると思います。


「そんな事より、坂本さんは大丈夫ですか?」


「あーー、そっか。ヒマリも愛美ちゃんも終ったみたいだし、もう頃合いかな。坂本さーーん、もう良いでしょう」


「はい」


坂本さんが返事をすると、引っ張られている手足を戻して、地面に降り立ちました。


「なっ、なにーーっ!!!」


エスパー江藤が慌てています。


「ふふふ、あーーっ、はっはっはーーー!! 坂本さんの演技はやはりすばらしい」


とうさんは、エスパー江藤を怒らせるように、高らかに笑った。


「くそーーーっ!! ぜってーに八つ裂きにしてやる。フルパワーだ! ふおおおおおーーーっ!!!」


エスパー江藤が両手を前に出し、歯を食いしばり全身ぷるぷるさせながら、坂本さんに念動力を送っています。

見る見るエスパー江藤の顔が赤くなります。

そして、血管がピクピクして、浮き上がってきました。

それでも、坂本さんは何事も無いように、スタスタ歩き、エスパー江藤に近づきます。


「うふふふ」


坂本さんが笑っています。

余裕たっぷりのようです。


「ぐぬぬぬー!! があああーーーーっ!!!!」


エスパー江藤の顔にマスクメロンのように血管が浮き上がります。

鼻から、目から、そして耳から血が噴き出しました。

食いしばる歯が真っ赤になります。

歯茎から一杯血が出ています。


坂本さんは何事も無いように、エスパー江藤に近づきます。

とうとうエスパー江藤の突き出した両手の前に着きました。

坂本さんは右手を前に出すと、その手をエスパー江藤の額に近づけます。


バチーーーーン!!!!


デコピンです。

すごい痛そうなデコピンです。

エスパー江藤が一回転しました。


「ぐああああああーーっ!!」


仰向けに倒れ、顔を上げました。

デコが、ぷくーと腫れ上がります。


「うわあーかっこわりー、女性の胸みたいだ」


とうさんが何かに、そんたくして表現しました。


「本当ですね。おっぱいみたいです」


額が腫れ上がり、指が当たったところが赤くなり、まるでGカップのおっぱいのようになっています。

エスパー江藤は、一度上半身を起こしましたが、その後白目をむいて、ふたたび倒れました。


「とうさまーー」

「とうさーーん」


四人が変身を解除して、とうさんめがけて走ってきます。


「ちょっと、ちょっと、だめですよーーー!!」


私が止めるのも聞かず全員がとうさんの太った体に抱きつきます。


「わああーー」


とうさんは、満員電車の会社員のおじさんみたいに、両手を上にあげました。セクハラと言われないようにする為でしょうか。

四人の水着の美女に抱きつかれています。

上に上がった手が、わきわき動いています。


「みなさん、駄目ですよー。水着なんですからー」


全員が私の顔を見て驚いた顔をしています。

そーです。私も水着でした。

さっきから私もずっと水着でとうさんに抱きついていました。

人のことは言えませんね。


「皆、少しコスチュームを貸してくれ」


とうさんは、四人の黒猫と、カラスを集めると、少しだけ触れました。


「一度、変身して欲しい」


とうさんが、少し四人のコスチュームに改造を施したみたいです。


「オイサスト! シュヴァイン!」


四人が変身した。

四人のコスチュームにスカートが付いている。


「わあっー、かわいい!!」


四人は喜んでいます。


「あずさー……」


とうさんは私に四枚の白い布を渡しました。

とうさんが持っている下着は、すごく布の面積が小さいです。

まさか、とうさんは私に言わせる気なのでしょうか。自分で言ってくださいよね。

うわーーっ! ふとっちょのとうさんが、もじもじ、くねくね、しています。とても気持ち悪いです。

しょうがないなー。


「みなさん、とうさんがこれを、はいてほしいと言っています」


私が言うと、四人は何の抵抗もなく、下着をつけました。

下着をつけると四人は、とうさんにむかってスカートを少しだけ持ち上げて、白い物をチラチラさせます。


「なんだか、コスチュームの上なのに恥ずかしいわ」


坂本さんがいうと、三人がうなずいている。


「滅茶苦茶! いいーー!!!」


とうさんが吠えた。

やれやれです。

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