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0347 勝負の行方

「うがあああああーーーーーー!!!!!!」


島津軍の中で最初に敵軍とぶつかったのは、右翼の真田十勇士隊三好青海入道様です。

この方は真田家主催の武術大会で優勝した、真田隊最強で最も体の大きい猛将です。

大声を出し両手を開いて敵軍に突っ込むと、五人の敵兵に激突しました。


「うぎゃあああああーーーーーー!!!!!」


赤池隊も走っていましたので、その激突のパワーはすさまじいものでした。

吹飛んだのは、赤池隊の兵士です。

敵兵五人は、吹飛ぶときに大勢の兵士を巻き込みながら飛んで行きます。


「おりゃあああああーーーーーー!!!!!! ちいぃ一番槍はのがしたかーーー!!!!」


二番目に敵軍に飛び込んだのは左翼の安東常久様でした。

安東様に飛ばされた兵士はすさまじいスピードで飛んで行きます。

直撃を受けた兵士は全身から力がなくなり、くにゃくにゃしながら吹飛びます。


いけません。恐らく即死ですね。

安東常久様は、まだ加減がうまく出来ない……それともアドレナリンが出過ぎて、力が入りすぎているのでしょうか。

ぶつかられた兵士は、高速で走るダンプの直撃を受けた位の衝撃でしょう。

巻き込まれた兵士が何十人も倒れ、ピクリとも動きません。


「ぎゃああああああーーーーーーー!!!!!!!」


次々、真田十勇士隊が敵軍に飛び込むと、敵兵は阿鼻叫喚の地獄絵図になりました。

耳をふさぎたくなるような悲鳴が上がります。

遅れて安東隊も、敵兵に次々突っ込みます。

真田十勇士隊の比では無いほどの悲鳴が上がりました。

いけません、犠牲者が増えています。


「なっ、なにーーっ!! な、な、ななななななんだーー!! これわああーーーーー!!!!!!」


物見櫓から様子を見ていた相良様が、しゃがみ込んで驚いています。


「くそーーっ!! 赤池隊ー!!!! 前を開けよーーー!!!!」

「深水たーーい!!!! 前を、前をあけよーーーー!!!!」


三好様と安東様が隊の中央あたりまで進んだ所で、赤池様と深水様が声を上げました。

この声を聞くと、真田十勇士隊も安東隊も手を止めました。

相良軍全軍が動きを止めると、右翼、左翼の中央がサーーッと丸く開いていきます。

サークルの中央に一人ずつ将が進み出ます。

そして、三好様と安東様がゆっくり、サークルの中央に進み出ます。


「俺の相手は、深水か!!」


安東様がつまらなそうに言いました。


「ききき、貴様ー!! ぐろうする気かーー!!」


深水様が怒りをあらわにしました。


「おぬし、名は何と言う?」


赤池殿が、三好様に聞きました。


「わが名は、三好青海入道」


「な、なな、にゃにーー!!!! みみみ、三好青海入道ーー!!!!」


赤池殿はなんだか興奮しています。

まさか真田十勇士が好きなのでしょうか。


「ほ、ほ、ほんものだーー!! 本物はこんなにゴリラみたいな顔なのかー」


いえいえ、そんなわけがありませんよ。

おかしな人が多いですねえ。


「ちっ!」


三好様が赤い顔をして舌打ちをしました。

うれしがられて、まんざらでも無かったのに、ゴリラと言われて気分を害した。そんな感じでしょうか。


「いくぞーー!!!!」


赤池様と深水様の声がそろいました。


「うぎゃあああーーーーーーーー!!!!!!」


二人が吹飛ぶのも同じでした。

あっという間です。実力不足ですね。

安東様も、今度はうまく手加減が出来たみたいです。

二人とも倒れてはいますが死ななかったようです。

赤池殿と深水殿が武器を振りかぶった瞬間に、三好様も安東様も、目にも止まらぬ速さで移動すると掌底で吹飛ばしました。二人は何が起きたかもわからなかったでしょう。

安東様と三好様は、倒れている二人の襟をつかみ、ズルズル自軍の方へ運びます。


「く、くそーーっ!! 全軍撤退だーー!!」


相良様が物見櫓から駆け下りながら叫びます。


「桃井さん!!!!」


島津義弘様が叫びました。


「ええっ!! 私ーーっ!!」


急に私の名前を呼ばれて、思わず声を出してしまいました。


「くっ、くせ者ーー!! であえーー!! であえーー!!!!」


相良様を守る守備隊が、守りを固め武器を構えました。

私は透明化を解除しました。


「忍者だー! うぎゃあ」

「ぐあっ」

「げっ」

「ぐはっ」

「ぐわああああーーーー!!!!」


私は最小限の敵に掌底を合せ、相良様に掌底を合せると相良様が一番大きな叫び声を出しました。

そして、相良様の襟首をつかんで、中央の密集した敵兵の肩の上を、ぴょんぴょん飛び越え、島津義弘様の前まで走りました。


「はははは、今日一番のお手柄は桃井さんですなあ!!!!」


「はあぁーー!!!!」


私はドサッと相良様を地面に落とすと、義弘様を見つめました。

義弘様は少しバツがわるそうな顔をすると、大きく息を吸い込みました。


「相良晴広! 捕らえたりーー!!!!」


「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!!」


島津軍から歓声が上がりました。

この声を聞くと、相良軍はガックリひざをつきました。


捕らえられた相楽様と赤池様、そして深水様は拘束具で拘束され、義弘様の前に座らされました。

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