『それにしても、ここって狼まで出るんだな』
『ゾンビとかスケルトンとか
『あーでも、廃墟には野良犬が棲み付く事が良くあるって聞いた事はあるな』
『野良犬ってレベルかあれ? 魔物化した狼なんですけど』
そうですね、凶暴度が段違いですね相手する私からすれば。
――とまあ、今日はチャット欄も盛況だ。今まで殆ど閑古鳥が鳴いていたから、こういうのを見ていると嬉しい。
それはともかく今の戦闘で念願のレベル5に到達した。今回のレベルアップはこれまでとは文字通り一線を画す。何故なら、
「……おめでとう、すのこさん。これで敏捷値も三桁だね」
そう。敏捷値がとうとう100を超えるのだ。
一回のレベルアップにつき貰えるパラメーターポイントは10。5レベル目で40ポイント。元々の数値は65である為、これで合計105になる。
「マイは? まだ戻ってきませんか?」
「……うん。別の
「そうですか……」
記念すべき瞬間をマイとも一緒に迎えたかったんだけど。とはいえ、配信はテンポが大事だ。何もせずに待つのはよろしくない。彼女には悪いけど、ここは先にパラメーターポイントを振らせて貰おう。
『
『条件:「敏捷値のパラメーターが100に到達する」を達成。
スキル【二乗の
「あっ、何かスキルゲットした! 100になったからかな?」
「……きっとそう。やったね。どんなスキルなのかな?」
頬をかすかに赤く染めて興奮するルトちゃん。三桁なんて大台、彼女も見た事がないのだろう。彼女の可愛らしさに押されて、焦る手で教典のスキル欄のページを開いた。そこには先程の【天龍一矢】とは別にもう一つ、スキルが追加されていた。
【天龍一矢】
アクティブスキル。一定範囲内に魔力の矢の雨を降らせる。最少で十本。レベルが上がると本数が増える。
【二乗の
パッシブスキル。近接攻撃時に限り敏捷値の数値を筋力値に上乗せする。
「うわっ、これ本当に凄い! これなら私の攻撃力の低さをカバー出来るじゃん!」
なんて私向きのスキルなのか。極振りプレイをしている為、私の筋力値は常に最低値だ。それをこんな形でカバーしてくれるなんて。ありがたやゲームシステム。