「とはいえ、巻き返しとは言ったもののどうしたものか……」
敵は【装甲】持ちの巨人。【
マイの【
ルトちゃんの【
風と火しか効かないのであればルトちゃんのクールタイムがネックになる。魔術は威力が高い分、
「馬鹿な! 確かに石化した胸部を打ち砕いた。心臓が潰れておきながら人間が生きていられる筈がない」
そんなエゲツない攻撃していたのか、こいつ。全年齢フィルターがなかったらグロ描写不可避だったな。
「……すのこさん、今、
「駄目、ルトちゃん! 今の私はゾンビだから、回復アイテムじゃ逆にダメージを受けちゃう!」
「……なら、先にゾンビ状態を治すアイテムを……!」
「させぬわ!」
私達のやり取りを聞いていた神官が動く。足を踏み鳴らして向かった先はルトちゃんだ。敏捷値の高い私ではなく、鈍重な魔法使いであるルトちゃんなら仕留めるのが容易いという判断だろう。その判断は的中であり、ルトちゃんは神官が近付いてくるのを前にしながら逃げる事が出来ない。
「……ひいっ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
迫る巨躯にルトちゃんが怯えて謝り出す。しかし、その両手はしっかりと前に突き出して魔術を発動していた。【
「
しかし、やはり地属性は効かなかった。あまりに真正直なその攻撃に神官が杖で対抗する。払った杖が石斧を叩き落とした。神官の足は瞬きの間しか停止しなかった。
「フンッヌ!」
「……ひぎっ!」
「ああっ! ルトちゃん!」
杖を翻して神官がルトちゃんを叩く。杖はルトちゃんの右側頭部に命中し、彼女の意識を刈り取った。システム的に言うと体力がゼロになった。生命値に乏しい彼女では一撃も耐えられなかったのだ。
悔しい、守れなかった。……いや悔しがっている場合じゃない。せめて早く彼女を蘇生しなくては。
「次は貴様だ!」
しかし、敵は当然、私にアイテムを使う暇など許さない。仰向けに倒れたルトちゃんを尻目に神官が私へと迫りくる。