「させるかよォ!」
そこにマイが再び割って入った。剣を構えて神官の進路を塞ぐ。
神官が杖で薙ぎ払う。が、マイには当たらなかった。紙一重で杖の下を潜り抜け、躱したのだ。神官の懐に入ったマイが剣を振り抜く。【剣閃一斬】だ。魔力の斬撃が神官の下顎を打つ。
「効かぬと知っていた筈だ!」
しかし、まるでダメージになっていなかった。下顎は人体の急所の一つだが、急所だろうとどこだろうと【装甲】持ちには関係がない様子だ。つくづく厄介だ。
「【ガタノソアの呪腕】――!」
足元にいるマイに向けて神官が杖を突き立てる。杖の先から再び黒腕が現れて、マイに触れた。触れられた箇所からマイの全身が石化する。
彼女が神官の注意を引き付けている間に、私はルトちゃんの下へと駆け寄っていた。教典を開いてアイテム欄のページを操作、
「……! ありがと!」
「どういたしまして!」
ルトちゃんの背に手を差し伸べて彼女の体を起こす。石化したマイに追撃しようとしていた神官がこちらに注意を変えた。
「小賢しい!」
マイを放置して神官が私達に向かってくる。先駆けたらんと私が飛び出し、神官へと特攻を仕掛けた。同時にルトちゃんが【
「グッヌゥゥゥ!」
神官が呻き声を上げる。やはり【
「舐めるな、小娘!」
この二技だけでは神官を打倒し得なかった。
神官が腕を伸ばし、未だ宙にいた私を掴む。凄まじい膂力で私を振りかぶると、石化したマイへと投げた。そのまま私はマイと激突し、彼女共々地面を転がる。
「ごっ、ごめんなさいごめんなさい! ごめんなさ――【
私が身を起こしている間に神官がルトちゃんへと接近する。ルトちゃんは魔術で神官の足を止めようとするが、やはり風属性の魔術でないと通用しない。火の玉も石の斧も【装甲】を貫けず、神官がルトちゃんの目の前に立つ。絶体絶命だ。
「これで
「――おい、てめぇ」
ルトちゃんにトドメを刺そうと神官が杖を振りかぶった、その時だった。