「さっきからすのことルトばかり狙いやがって。随分とオレを軽く見てくれるじゃねえか」
マイが神官に待ったを掛けた。彼女の石化は私が解いた。神官が私をマイに向かって投げたお陰で彼女近付けた事。マイにぶつかった私の
「笑止。貴様程度の剣士が一人いようと二人いようと変わらんわ。貴様が我に与えたダメージは僅かだけ。あとは呪いの状態異常のみだが、呪いでは我は死なぬ」
マイの右腕には【呪視の腕輪】が嵌められている。攻撃時に対象の状態異常:呪いを付与する装備品だ。呪いを掛けられた者は徐々に
「それを不服とするならば、良かろう。貴様から殺してやる。いい加減、何度も打ち払っているのに戻ってくる貴様にはうんざりしていた所だ」
「上等だ。来いよ」
神官の敵意をマイに浴びる。マイは剣を上段に構えて、両脚を軽く広げた。真正面から迎え撃つ気だ。
心意気は買うけど、マイでは神官には勝つのは難しい。彼我の戦力差が明らかだ。先程は杖の下を潜り抜けて攻撃を当てていたが、それは神官のヘイトが私に向いていたから出来た事だ。正面から警戒されたままではマイがどんな攻撃を仕掛けても防がれてしまう。しかもあんなに隙だらけの体勢でだ。マイの敏捷値が私レベルにあれば話は別だが、ないものはないのだ。
だったら、私がそのサポートをすれば良い。
「マイ! 跳んで!」
私の言葉に僅かに眉をひそめるマイ。だが、私の意図は分からなくとも信頼はしてくれたのだろう。彼女はすぐさま跳躍した。ゲーム的に強化された脚力により彼女の身が一息に神官の額にまで達する。神官は杖を構えてマイの接近を待つ。迎撃の態勢だ。
「今こそ力を貸して、私の【命中補正E】――【
だが、それを私が許す訳がない。
矢をやや上に向けて放つ。矢は狙い通り、マイに当たらずマイを追い抜いた。神官の頭上で矢が炸裂し、十本の魔力の矢が神官へと降り注ぐ。