司会者は長身の男だった。黒い山高帽と長いテールのある黒コートを着用している。顔は髑髏の覆面によって隠されており、目だけが露出していた。まるでお化けの仮装だ。……この祭りをハロウィンと間違えていないだろうか。
周囲のギャラリーにはマイやシュブシュブがいた。シュブシュブは配信中の表示が出ている。隣ではラトの使い魔――【白海月ロイロイ】という名前だったか――も配信中だった。他にも多くの
『ルールは簡単! お手持ちのアイテムの中で最もレア度の高い物を一品、提出して頂きます』
司会者がテンション高くルールを説明する。
今回の催しはこのゲーム中に獲得したアイテムを見せ合って、そのレア度を競うという趣旨だ。最もレア度の高いアイテムを出したプレイヤーが優勝になる。更には「午前十一時三十分の部」の言葉通り、時間ごとに区切ってミニイベントは何度も行われる。その全参加者の中で最もレア度の高いアイテムを出した人が総合優勝に選ばれる。
私とゾヘドさん――あとついでにラト――との勝負においては、よりレア度の高い方が勝ちとなる。優勝する必要はないけど、優勝すれば当然三本勝負も勝ちだ。狙わない理由はない。一番良いので行かせて貰おう。
『当ゲームのテーマは「発掘と開拓」! 故にダンジョンのより深くから掘り出してきた物程レア度が高まります。逆に市販のアイテムはどれ程高値でも今回は価値を認められません』
お金で解決しちゃ駄目という事ね。お金を稼ぐのもそれはそれで大変だと思うけど、今回はそうじゃないと。あくまでも値段云々ではなく、フィールドやダンジョンで冒険して獲得してきた物を提示しろという事か。
『更に、アイテムは加工した物の方がレア度が上がります。ダンジョンで手に入れたアイテムを加工したアイテムであれば申し分ないですね』
三つ目のルール。成程、
『以上を踏まえまして、それでは参加者の皆様! アイテムの提示をどうぞ!』
司会者が掌で指し示して参加者たちに提示を促す。順番は最後に参加したラトが一番目、二番目に私、最後にゾヘドさんだ。
「じゃあ、早速見せびらかさせて貰うぜ」