和洋折衷な街並みが特徴の
何たって出店がある。しかも売っているのが綿飴だったりたこ焼きだったり、かき氷だったり焼きそばだったりだ。まさしくジャパニーズ・フェスティバルだ。
「出店を見ていると、お腹空いてきちゃうね」
「それが狙いなんだろ。ちょうど昼時に美味そうな匂いを漂わせて、店に金を落とさせようって魂胆だ」
「ああ~……掌の上は悔しいけど抗えないねー」
「そういや、
「マジで縁日のお祭りじゃん」
それで良いのかハイ・ファンタジー系RPG。良いのか別に、
「んで、ゾヘドってのはどこで待っているんだ?」
「一応、どのミニゲームにいつ参加するかは事前にはある程度決めてあるんだって。それに合わせて私も参加していくよ」
企業勢である彼女はスタッフときちんとスケジュールを組んで行動している。配信をより盛り上げる為の采配だ。とはいえ、臨機応変というか、彼女自身が
『何? ゾヘドと何か因縁でもあるん?』
とはチャット欄からのコメントだ。
昨晩の出来事を知らない彼らが、私がゾヘドさんを探しているのを疑問に思うのは当然だろう。けれども、彼らにその経緯を説明する訳にはいかない。チクタクマン社のトップシークレットに触れなくてはならないし、そもそも
だから、ここは適当を言って誤魔化すしかない。
「うん。配信外でね、ゾヘドさんと会う機会があって。ほら、私ってばロンちゃんとも友達になったし、ラペさんとも会話したじゃん。それで興味を持ってくれたみたいで」
『なるほどなー』
『なにそれ羨ましい』
『これで「
チャット欄がやいのやいのと騒がしくなる。いやまあ、そんな事もありますけどね? 確かに『
ていうか、チャット欄が「『
「おっ、長い白髪に黒い甲冑。あいつがゾヘドか?」
マイがゾヘドさんを発見する。ゾヘドさんは広場の一角にいた。広場ではミニゲーム……というかミニイベントが開催されていた。ミニイベントにはこれから参加する様子であるらしい。
「それじゃ行ってくる」
「おう」
「んん? 巫女はあれに参加すんのか? じゃあ俺も行くぜ」
後ろから付かず離れずついてきていたラトも私に続く。
「……あのねえ、一緒に参加するなら隣を歩けば良いでしょ。なんで後ろにいるの?」
「はあ? 俺にお前と仲良しこよしで歩けってか? 冗談じゃねえぜ。俺とお前は敵同士なんだからな。近くには寄らねえよ」
でも、私を見失う訳にはいかないから離れる事も出来ない。だから、ストーカーみたいに後ろを歩くしかないのだ。何というか、格好悪い絵面だ。本人が気にしていないのなら別に良いんだけど。
「おっ? 来たなあ、二倉すのこ!」
私に気付いたゾヘドさんがニンマリを笑う。まだ何もしていないというのに何故かドヤ顔だ。何だその可愛い表情は。無意味に自信満々なのがむしろ愛嬌がある。
スタッフに誘導されて長テーブルの前に立たされる。長テーブルには白いテーブルクロスが掛けられていた。私とラトで参加者は計七人。七人が規定人数だったのかそれとも時間が〆切だったなのか、司会が開始の宣言をする。
『それでは、当イベント「アイテム比べ」、午前十一時三十分の部を始めさせて頂きます!』