「負けちゃった……」
大通りをトボトボと歩く。
私の記憶を懸けた戦い、それは黒星でのスタートとなってしまった。出鼻を
「仕方ねえだろ。あの場で努力してどうにかなる勝負じゃなかったしな。向こうの準備が
「うん……。うん、そうだね」
隣を歩いていたマイが慰めてくれた。素直に嬉しい。持つべきものはやっぱり親友だ。
そうだ。彼女の言う通り、これはまだ一本目なのだ。三本勝負は二本先に取った方が勝ちになる。まだ一本しか取られていないというのに気落ちするのは早い。まだ巻き返せる。
「となると、次の
出来るだけ私が有利になるものを選びたい所だ。聞いていたスケジュールによると、そろそろこの周辺にゾヘドさんがやってくる筈だ。そのミニゲームは比較的私の得手だった。視線を左右に動かして、それらしいミニゲームを探す。すると、
「こんにちは、『お屋敷シューティング』は如何ですか?」
「マ、マナちゃん!?」
道端に立つマナちゃんと目が合った。
「どうも、犀芭マナです。本体じゃなくて端末なのは御免ねー」
ふんわりと微笑むマナちゃん。端末とてその愛らしさは変わらない。笑顔が眩しいぜ……!
「どうしたの? ほっぺたが赤いよ? ふふふ、可愛らしい」
あっ、そんなマナちゃんが私に手を伸ばして……私の頬を撫でるなんて、そんな……! その美しい指先が穢れてしまいます! 畏れ多いです! ああでも、やめないで欲しい。至福……!
「こらあ、二倉すのこ! マナ様に近付き過ぎだぞ、それは!」
なんてドキマギしていたらゾヘドさんが現れた。人混みを突っ切って、真っ直ぐにこちらに迫り寄ってくる。
「ゾヘド、近付いたのはマナの方からなんだけど。文句あるのかなあ? ん-?」
「いいえ文句などある筈もありませんスミマセン
笑顔で怒気を表すマナちゃんに、ゾヘドさんはすぐさま直角に腰を曲げて頭を下げた。電光石火の謝罪体勢だ。相変わらずマナちゃんが絡むと知能指数下がるな、この人。まあそこが可愛いんだけど。
「それで、マナちゃんはここで何を?」
「ここのミニゲームの受付兼案内人をしていたんだよ。どう? 二人共参加してみない?」
「あっ、は、はい勿論!」
「マナ様が働いているイベントに参加しない訳にはいきません」
「おい! 俺も俺も! 参加するぜ!」
ゾヘドさんと共に首肯すると後から追ってきたラトも混ざった。三人の参加表明を聞いてマナちゃんが頷く。
「それじゃあ、ルールを説明するね。そこの魔法陣に乗ると空間転移されるよ。転移先はとあるお貴族様のお屋敷においてあるトロッコ。そのトロッコに乗ってお屋敷の中を決められたレールで走りつつ、出現する
マナちゃんが指差した先の床には三つの魔法陣があった。あそこからゲームのステージに転送されるらしい。貴族の屋敷に行くという話だけど、選べるステージの種類は三つあるという事なのだろう。
「んで、これがシューティング専用の武器ね」