「あん? こいつぁ……銃か?」
マナちゃんが取り出したのは拳銃だ。銃身の中央に回転する薬室があるタイプ――
「これは現在、我が国が開発中という設定の新兵器。魔法銃と呼ぶべき代物だよ」
「魔法銃……」
「薬室――弾丸を装填する所に弾丸じゃなくて宝石が埋め込まれていてね。宝石から魔力の弾丸が出る仕組み。全弾撃ち尽くしたら掌で撫でる事で、使用者の魔力を吸って装填が出来るよ」
銃かあ。てっきり異世界のシューティングだから弓矢を使うものだと思っていたけど。でも、魔法銃が登場するハイ・ファンタジー作品も結構あるし、こういうのもアリか。弓矢だと
「今度は負けねえぞ、巫女」
「このゲームはシューティングだよ。
「ああん? 俺だって投げナイフなら得意なんだぜ。盗賊だからな」
「えっ、えっと、えっと……私は剣士だけど、でも強いから!」
「ゾヘド、無理して対抗しなくて良いんだよ」
虚栄を張るゾヘドさん。これにはマナちゃんも苦笑い。
「さて、ゲームは二人一組で進める事になっているの。という訳で、順番的にゾヘド、すのこちゃんが一緒に行ってね」
「分かりました」
「わ、私がゾヘドさんと一緒のトロッコに……!?」
えええええ何それちょっとどころじゃなくて大分緊張するんですけど。
三本勝負の相手というのもあるけど、ゾヘドさんは推しの一人でもある。『
「俺は?」
「ラト君は次の参加者と一緒だね。ちょっと待っててね」
「ああ、じゃあそういう事ならテップの奴を呼んで――」
「――いや、オレが乗るぜ」
とラトがテップを呼ぶ前にマイが立候補した。
「こいつの獲物を横から奪ってやれば、すのこに有利になるんだろ?」
「おお? やってみろよ。てめえが何かするより先に撃ち落としてやらあ」
マイとラトが睨み合って火花が散る。合間、ちらりとマイが私を横目で見た。
これはマイの気遣いだ。マイがラトを引き付けている間に私はゾヘドさんとの対決に専念しろと暗に言っているのだ。有難い。彼女の心遣いを胸に、私はゾヘドさんに挑ませて貰おう。照れも畏れも、なんとでもなる筈だ!
「勝負はより多く得点を稼いだ方が勝ち。良いね? 二倉すのこ」
「はい。……よろしくお願いします、ゾヘドさん!」
私とゾヘドさんが同じ魔法陣の中に、マイとラトが隣の魔法陣の中に立つ。魔法陣から光の粒子が溢れて視界が埋め尽くされ、景色がフェードアウトする。
「それじゃあ、行ってらっしゃい」
マナちゃんの言葉を区切りに次の瞬間、私達は別の場所に転送された。