「あばっばばばああああああ――!」
天井にぶら下がっていた
驚かし要員なのか、ゾンビはここでは攻撃してこなかった。けれど、今のでゾヘドさんは完全に委縮してしまい、あろう事か私に抱き着いてきた。
「ぴゃあああああ!? ゾヘドさん、何を!?」
「ひええ、ひえええええっ!」
きゃ、きゃきゃきゃ
いやいやいや興奮している場合じゃない。今はシューティングに集中しないと。ああでも、抱き着かれたままじゃ狙いが定まらない。かといって無理に引き剥す事も出来ない。そんな御無体な真似を推しにする訳にはいかない。
ていうか、抱き着かれてるの恐縮ではありますけれども至福で御座います。心臓がバクバクとヤバい。
あああああもうどうにもならない!
◇
「はっはぁー、スコア296ポイント! ここは俺の勝ちだな! ……オイどうした、そんなに疲れた顔をして」
「いや……その……
「?」
ミニゲーム終了後、朱無王国の道端に満身創痍の私達二人がいた。両膝両手を石畳に着けて肩で息をしている。ラトとマイも私達とほぼ同時に帰ってきていた。
「そっち、ステージ何だった?」
「武家屋敷で化け猫とか大狸とかが出てきた」
「妖怪を撃ってきたって事?」
ナニソレ。銃のシューティングゲームで妖怪が敵ってどんな組み合わせ? ある意味ではこちらと同じお化け屋敷ではあるんだろうか。
それはともかく、結局私のスコアは101ポイントだった。ラトには負けてしまったのだ。悔しい。
「オレは94ポイントか……。クソ、思っていたより得点取れなかった。悪ぃ、すのこ」
「ううん、私も全然だったから。それに……」
ゾヘドさんのポイントは77。私やラトは元よりマイよりも低い。マイは成果を上げられなかった事に済まなそうにしているけど、肝心要のゾヘドさんとの勝負には勝ったので問題ない。
二本目は私に軍配が上がった。