「えへへ、勝っちゃった」
大通りを今度はルンルンと歩く。
三本勝負の二本目は白星で終える事が出来た。これで一対一の
「やったじゃねえか。狙い通りの勝利か?」
「ううん。生憎だけど運が良かったのが大きいね」
シューティングゲームなら弓使いの私が有利だろうな程度は考えていたけど、お化け屋敷のステージが来るのは知らなかった。ゾヘドさんにとっても不意討ちの様子みたいだっだし。マナちゃんがゾヘドさんのリアクションを期待していた所に偶然にもうまく私が乗っかったというのが正解だろう。マナちゃんの思惑とゾヘドさんの弱点、私の引きがうまく噛み合った形だ。
「さて、次は
そうだ。次の勝負こそ大一番だ。次の三本目で最終的な勝ち負けが決定する。ラトには悪いけど、彼に介入されずにゾヘドさんに専念出来るものを選ばなくてはならない。
「うん。それについては目星を付けているのがあるよ」
ゾヘドさんが参加するミニゲームについては事前に知らされている。その中で白羽の矢を立てた物が一つあるのだ。この道にそのゲームがある筈なんだけど……。
「お、あったあった。これだ」
「ああ? お前これって……」
発見したミニゲームを前にマイが珍妙な顔をする。
場所は大通り沿いの公園だ。中央に正方形に土塊が盛られており、更にその内側を縄で円状に仕切っている。直径四メートル半の円の中心には二本の白い線が入っていた。土俵と呼ばれる競技場だ。
これこそが私が選んだ勝負方法。日本伝統の武道の一つ。
「
そう、スモウ・レスリングである。
◇
相撲。
日本古来の神事、同時にそれを起源とする武道の一つ。円形または四角形をした競技場――土俵の中で二人が組み合って勝ち負けを競う。ルールは至ってシンプルで、土俵から出るか、地面に足の裏以外が着いた場合に負けとなる。
「いやいやいや、なんでチョイスが相撲なんだよ」
マイのツッコミももっともだ。私自身、今日まで自分が相撲をやるなんて夢にも思わなかった。
「
「ええ……そうかあ?」
疑問顔のマイだが、けれども実際そうなのだから仕方がない。他は腕相撲だったり剣技を競ったりとゾヘドさんが有利になるものばっかりだったのだ。ゾヘドさんの得手を封じるには