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第九十五話

昨日ミスティさんと食事をしながら、学内での授業の様子やら何やら話を聞いて、色々と学ぶ方法を考えた。


まず、今までコルクス教授にマンツーマンで教えてもらっていたので、他生徒との交流もない。


食堂に行ってご飯を食べるときに、見かける生徒はそこそこの良家の出、もしくは貴族なのではないかと推測できた。


そもそも子供を働きに出さず、学びの場を与えることができるのは、金銭的に余裕がないと無理だ。


もちろん僕みたいに村から来ている平民もいるかもしれないが、大勢の人の中からピンポイントで見つけ出すのは不可能だ。


また、平民は平民でも街で生まれ育った平民、村で生まれ育った平民では生活基盤が違いすぎる。


未だに村では物々交換が主流だが、町で物々交換をしているのはほぼ見なかった。

急遽必要なものが出た人はやっていたが、おそらく鮫トレだっただろう。


一応、学校の教育方針で、身分など関係無く平等教育を受けられる。


学内では無闇矢鱈と権力を振りかざすことは禁止されている。

だが、貴族は貴族、平民は平民、考え方が違い衝突することが多いのではないだろうか。


そんな中で、

村人のアルージェが入って行っても、平民にも貴族にも属せないので、まともな話が出来るとは思えない。


ここまであくまで僕自身が勝手に考えているだけだ。


少し偏屈な考えだが、これくらいは考えておかないと、教育方針を鵜呑みにして、

「みんなウェーイ!仲良くウェーイ!」と調子に乗った結果。

何か有ったら、ショックを受けるのは自分だからな。

まぁ、ウェイウェイ言うのは流石にないけど。


上記理由により、図書館が一番だと判断しました。


ってことで、ミスティさんに教えてもらった、図書館の入り口に到着しました。


「あれ?ここまで来たけど、ルーネって図書館入れるの?」


紙という脆弱で劣化する素材を扱っている以上、かなり厳しく規制されている可能性もある。


「ルーネ、一緒に入れなかったらどうしよう・・・、考えてなかった・・・」


「バウッ」

入れなかったら外で待っとくから気にしないでと、脳内に伝わってくる。


「うぅ・・・ルーネ!何かあったら一緒に入れるように説得してみるからね!うぅ・・・」

ルーネにハグしてルーネの優しさを噛み締める。



「はい、確認が取れました。結構です、お入りください」

あんな感動的なシーンをやっていたのに、ルーネもあっさりと入れてしまった。


カウンターにいた受付の人に言われるがまま、アルージェは手の甲を見せた。

そこにはフォルスタでルーネと契約した時に出来た紋章が刻まれている。


受付係の人が「繋がりを示せ。証明デモンストランダム」と唱えると、手の甲にある紋章から、青い光が放たれる。

同じタイミングで、ルーネからは赤い光が放たれて、交わり紋章が現れた。


「あのさっきのって・・・?」

何が起きたのか分からなかったから、素直に受付の人に聞いた。


「主従契約をしているのに、ご存知ではないのですか?手の甲にあるその紋章は血の契約をしているという証明です」

受付の人が手の甲を指差しながら話す。


「人間でも動物でも魔獣でも、全てがそこに集約されます。なので紋章に対して、呪文を唱えて、誰と契約をしているのかを確認しました」


「な、なるほど、では紋章がある人に呪文を唱えたら、何と契約してるかがバレちゃうってことですか?」


「そうですね、もちろん隠蔽する方法もあります。ただそういうのは人と契約する場合に使われることが多くて、魔獣や動物と契約するときは、明確にすることがほとんどです」


「あぁ、まぁ確かに人だとプライベートにも関わりますもんね。逆に魔獣なんかはすぐに分かる方が安心かもしれないですね」


「その通りです」


「ありがとうございます!また一つ賢くなりました!」

アルージェは、ルーネと一緒に図書館の中に入る。


「はい、ごゆっくりどうぞ」

受付の人は、アルージェの後ろに並んでいた人の対応を始める。



「おぉぉぉぉぉ」

アルージェは驚嘆の声を上げる。


中に入るとまず驚いたのはその広さである。

どういう原理かはわからないが、外から見えていた建物と明らかに広さが異なっていた。

天井は高く、上の方にある本はどうやって取るのかもわからない。


「ミスティさんが言ってた、特別な魔法が掛かってるってこういうことか、すごいな」


見渡す限りの本!本!本!で、どこにあるのかも検討もつかない


「この中から付与魔法の本探すの不可能じゃない・・・?まぁ探してみるけど」


付与魔法のことが書かれている本を探し始める。


とりあえず、棚に書かれていないかと期待して見るが、棚には棚番号しか書かれていない。


「ぐぬぬ、案内を探すしかなさそう」

案内を確認しようにも、それらしき物は無い。


「ルーネなにか分かったりしない?」

少しでも手掛かりが欲しくてルーネに聞いてみる


「ワウ・・・」

と元気なく答える。


「まぁ、そうだよね、初めて来たし、なら棚を一つづつ見ていこうか」

キョロキョロと本棚一つ一つ確認して、付与魔法の本を探し始める。


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