結局、昨日はミスティさんとエマに一日中付き合わされた。
ピクニックにはミスティさん、エマ、ルートと一緒に行って、行った後はルーネには屋敷に戻ってもらって三人で城下町という程の規模でもないが、辺境伯邸の近くにある城下町に向かい買い物に付き合っていた。
町の人達はミスティさんをミスティさんと認識していたのかは不明だが、認識されていたら悪魔憑きとコソコソと噂話されていたかもしれない。
一人もそんなことをしている素振りが無かったということは、ミスティさんと認識していなかったのだろう。
まぁ、ミスティさんの表情は初めて会った時に比べて、本当に明るくなった。
それに子供の時と今では似てると思った人はいたかもしれないが、そもそも貴族の娘が市場に居るとも思わないか
本当に何事もなく、二人とただデートしただけだった。
でも楽しかったし、ずっとこうやって三人で居れるといいなと思えた。
さて、昨日は休みを満喫したので、今日から作業に移る。
別館の一部屋をミスティさんが空けてくれていて、そこで付与魔法をしている。
「一日遅れたけど、今日から僕が考える最強の槍を作るぞー!おー!」
アルージェは片手を上に上げて気合いを入れる。
「最低限必要な
素材が鉄では無く鋼だからっていうのも有るかもしれない。
上位の素材になればなるほど付与はしやすくなる。
例外的にミスリルは魔力への親和性が高いので、魔鋼より位は高い程度だが付与はしやすい
これを付与すると魔力を武器に流すことで魔力が凝固し槍の形状を斧槍、鎌など長物に形状を変化させることが出来るからだ。
ただイメージをしっかりと固めてから槍に流さないと中途半端な形になってしまうのが注意点だ。
例えば槍の形状から
鎌の形状が初めてだった場合、槍の学習記憶容量に新しく”鎌“という枠組みを作るよう設定。
そこからどんな攻撃をしたかどのように防御をしたかを覚えさせる。
次にまた鎌になった場合は以前使った鎌の学習記憶容量を引き継ぎ使用する。
槍形状から鎌ではなく斧槍形状にしたとする。
槍自体が鎌では無いと判断した場合、“斧槍”の枠組みを作りゼロから学習をさせる。
と言った感じで作成できれば使用者が変わっても過去に覚えた動きを新しい使用者も使用できるし、最適化して人間が出来る最小の動きで扱えるように槍側がアウトプットすれば、人間側も槍を持って訓練するだけでいろんな武器での体の使い方がわかるようになる。
一石二鳥ではないだろうか?
これが僕が考えた最強の槍の真価である。
そして刻印は二つ施した。
一つ目は使用者登録。
自分の血液を使用して、槍に使用者の登録する。
これはルーネと行った血の契約を参考にさせてもらった。
使用者登録は一人だけでは無く、何人でもできるようにしている。
使用者登録のメリットとして、使用者登録をすることで槍とパスが繋がる。
パスが繋がったら槍自体が使用者に対してスムーズにフィードバックを行えるようになっている。
別に使用者登録をしていなくても問題はないが、槍と契約している方が抵抗なくできるという感じだ。
それともう一つは
これは単純で使用者登録しておけば念じれば手元に戻ってくる。
シンプルで分かりやすい効果だと思う。
元は槍なので投擲することも考慮して入れたが、念じれば戻ってくるってすごくかっこいいよね。
「よっしゃー!完成!!」
アルージェは伸びをして体を解す。
アルージェは早速槍に使用者登録を行う。
「あっ、名前何にしようかな。ここまで強そうな効果たくさん付与したんだから、強そうな名前にしたいなぁ。う〜ん」
アルージェはこめかみ辺りを抑えて考える。
アルージェが持っている最強の武器。
これはここに転生する前に調べていた日本の神話が書かれた古事記に出てくる剣の名前である。
「槍は一つしかないよなぁ」
アルージェは槍を掲げて名を呼ぶ。
「
仰々しい名前をつけてしまったが、それくらいのポテンシャルは秘めていると思う。
拡張性はもちろん使用者へのフィードバックがあるおかげで、使えば使うほど強くなれる。
無限の可能性を秘めている武器だ。
ゲームでも成長型の武器は鉄板で強い。
「これから大事に育てていくからね。よろしくね!」
アルージェは
側から完全に危ない人だが、ここにはアルージェとルーネしかいない。
ルーネもいつものことだと分かっているので、そこまで気にしていない様子だ。
「えっ、ちょっと待って。周りくらくなってるんだけど。僕朝から付与始めてたよね・・・?まぁいいか!明日の訓練が楽しみだ!実戦で早く使いたいなぁ!」