───ミステリウム魔法学園編入試験・当日。
「人がいっぱいだ～！」
編入試験の会場となる魔法学園の校内に、人が沢山集まっていた。
アノールは在校生であるため、私とは別行動になっている。
知り合いがいないのが少し心細い。
１人不安になっていると、目の前にルイさんが現れた。
ルイさんはこの学園の教師。
例え、身内や関係者であろうが、絶対に容赦しないだろう。
「皆さん、ようこそミステリウム魔法学園へ。私は魔法学の担当である『ルイ・マーティン』と申します。
そして、編入試験の試験官でもありますので、覚悟しておいてください。さて、自己紹介はここまでとしまして、試験内容を発表いたします」
───第１試験【魔力測定】
───第２試験【筆記試験】
───第３試験【討伐試験】
「第１試験である【魔力測定】は、あのゴーレムに攻撃を当てるだけとなっています。
合格基準としては、５０以上の魔力量があれば合格とします。第１試験で５０以下の魔力量であれば、即退場です。
第２試験【筆記試験】は、場所を室内へと変えて、受けてもらいます。
合格基準としては、９０点以上となっています。不合格の場合は即退場です。
第３試験【討伐試験】は、この学園の奥にある森で、手強い魔物を準備させていただいておりますので、その討伐となっております。
合格基準としては、魔物を倒した際、赤い魔法石がまれに落としますので、その魔法石を５つ獲得した場合のみ合格と、させていただきます。なお、第３試験ではチームで組んでもらっても構いません。チームで組んだ場合は、手持ちを合わせて５つになれば合格です。自由に活動してください。相手から奪うのもありでですが、怪我だけはしないようにお願いいたしますね」
誰かと組んでも良いんだ……。
でも、１人でやった方が手っ取り早いから誘われない限り、１人で見つけるか～。
「試験内容は以上となっております。では早速、第１試験【魔力測定】を開始します。名前を呼ばれた方から順番に、私の前にきてください」
いつの間にか、第１試験である【魔力測定】が始まってしまった。
私は名前を呼ばれるまで、試験者の魔力測定を見ていた。
その中でも、３人。
気になった人がいた。
───１人目はセド・レナード。
黒髪ロングヘアの美青年！
背も高いし、足もスラッとしている。
モデルみたい！ とそんなことを思いながら、彼の試験を眺めていると、魔力測定ゴーレムの胸元に魔力量の数字が表れた。
１００いってるじゃん！ ルイさんも思わず、真顔になってたぞ！？
───２人目はレオナ・アルフレート。
桃色の胸元まで伸ばした髪を、右肩に流し結んだ青年。
白い肌で、優しそうな目つきをしている。
しかも、イケメンだ。
この世界には、イケメンしか存在しないんか！？ 神様に直接、問い出したいわ！
それに、魔力量は９５！？ レベル高くないこの試験！？
レオナ・アルフレートを目で追っていると、魔力測定を終えた彼と目が合って、微笑まれ、小さく手を振られた。
女子からは、嫉妬の目を向けられるし……。
こりゃ死んだわ。
───３人目は、マリアンヌ・アイリーン。
この子は、ふわふわとしたタイプの女の子だ。
キャラメル色の髪色で、ボブヘアが特徴。
でも、どこか眠たそう……。
ルイさんも『試験中なのに眠たそうにしやがって』みたいな黒いオーラを出してるし。
「アイリーンさん、試験中ですよ」
ルイさんはマリアンヌ・アイリーンに声をかけると、目を擦りながら花の杖を持ち、ゴーレムに向けて杖を一振りした。
すると、ゴーレムは立ったまま寝てしまった。
ゴーレムの胸元には、１１０と魔力量が記載されていた。
こわっ！ 普通に怖いわ！
しかも、マリアンヌ・アイリーンはふらふらと、なぜか私の前に来て、そのまま私の膝の上に座り、寝てしまった。
「な、ななななんんで！？」
私は思わず声を上げると、ルイさんが走ってきた。
「ルナさん、すみません。アイリーンさんは、こちらで預かりますので」
「お、お願いします！」
私はルイさんに、彼女を預けた？
すると、ルイさんが私に耳打ちをしてきた。
『次はルナさんですよね。楽しみにしています』
クスッと笑い、それだけを言ったルイさんは、マリアンヌ・アイリーンを抱え、試験は中断となった。
＊
───１０分後。
試験は再開した。
そして、ついに私の番になってしまった。
「ルナ・マーティンさん」
ルイさんに名前を呼ばれ、彼の前に移動した。
「ゴーレムに、何か魔法を撃ってください」
「分かりました」
私はゴーレムと少し離れた場所に立ち、氷の杖を取り出し、氷魔法をゴーレムに放った。
「
雪の結晶がゴーレムの周りに張り付き、ゴーレムは身動きが出来ずに、そのまま凍っていった。
ルイさんとアランさんから、言われていたことがあった。
私の魔力量は、無限に体に流れている状態。
制御するためには、とにかく魔力を外へと放出さなければならない。
そのためには、魔法を上級魔法か、多く使用することが大事らしい。
ただ、学園に入ったら、普通の魔法を使うのが基本となり、魔力を大幅に溜めることが多くなる。
常に魔力量を制御するために、戦闘時やフリーで魔法が使える授業のみだけ、上級魔法を使用可能にする。
それ以外は、みんなと同じく基礎魔法だけを使用するという約束になっている。
上級魔法を使用する限り、学園内では目立つかもしれないが、それはそれとして。
できるだけ、魔力を減らしていくことに専念する。
だが、その話は魔力を制御できるようになる
授業を受けていけば、制御のコツなどは掴めるようになるらしい。
ちなみに、アノールの体験談。
だから、今日は敢えて、上級魔法を使用した。
ルイさんは知っているため、めっちゃ笑顔で頷いた。
「測定の結果は…文句なしの２００ですね。合格です！」
ん？
２００ってありえなくない？
今のところ私が１位なの！？
みんな見てくるし怖い！
レオナ・アルフレートなんて、にっこにこじゃん！ あんたのこと知らんよ？ 中身アランさんだったりする？？
そうだったら変態じゃん！
脳内パニックを起こしていると、ルイさんは私の左肩に手を置き、試験の終了を告げた。
「これにて、第１試験は終了とさせていただきます。合格者は校内へ」
───こうして私は、第１試験を合格を果たし、そのまま第２試験である【筆記試験】を受け、１００点を取った。
『又もや文句なしの合格ですね』とルイさんに言われ、第２試験も無事合格した私は、最終試験である【討伐試験】へと向かうのだった。
