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新企画立案 11

 ランチタイムに弁当企画を並行して行ない、1週間経った。相沢のアドバイスも含めていろいろ考えたが、まだきちんと検討するまでの実績が無い。

 だが、ランチと弁当をうまく機能させるためのスタッフの動きについては何かしら感じるものがあった。

 両者に存在する忙しさの時間差だが、これは厨房の動きとも関係する。まだまだ経験しなければ分からないが、弁当の場合は商品を渡してお代をいただければ終了になるが、ランチの場合、配膳から後片付け、お冷のサービス、会計まで続く。ここに人手が要求されることになるが、様子が分からなかったために弁当スタッフとして2号店から2人応援に来てもらっていたけれど、1人でも大丈夫ということが分かり、1号店の夜の部からヘルプとして来てもらえば問題ないのではと思うようになった。もう少し弁当の客が増えた場合、あるいはその拡大を図った場合は別に求人の必要があるかもしれないが、人件費の問題もあり、なかなかその決断はつかない。

 だが、もしその兆しがあったり、メニューの工夫などで来客が増えた場合には必要になる。どこまで現在の体制で大丈夫かという目安を考えなければならないが、今は忙しくなるための方策を考えることが先決だ。

 現在、弁当企画で評判が良さそうなのは、他店では別料金になる汁物を付けるというところなのでこれは堅持する。

 しかし、最も大切なのはメインになるメニューだろう。

この点、どうしてもランチとは異なる傾向になるので、なかなかランチで経験したことが活かせない。そもそも昼食の場合、ゆっくり食べるという時間が無いため、簡単に済まそうという傾向がある。ランチタイムに来店する客の場合、それでも少しゆっくり食べたいということで来店するのだろうが、弁当の場合は時間的な余裕についてはあまり無いようにも思える。

 となれば、あまりメニューの品目にこだわるのではなく、リサーチで得た情報をベースに構成し、日替わりだけこれまでのやり方をし、レギュラーメニューの場合、ご飯だけ温かい状態にする、ということもあるだろう。もっとも、メニューによってそれは合わないというケースもあるだろうし、作ってから時間が経ちすぎていては衛生面でも注意が必要になる。

 現実にスタートして、そこからの経験で少しずつ改良してと思っていたが、ますます迷いが出てくることになった。来店して食べてもらうランチタイム企画の場合、接客のことなどは夜の部と重なることがあったためあまり気にならないが、そもそも求めるものが異なる企画の場合、やってみてもなかなか見えないことがあるものだ、と改めて感じていた。

 私はこのことをランチタイムが終わり、夜の部の仕込みに入る時、チーフの矢島に話した。そこには夜まで休憩中のアルバイトスタッフもいたので感想を聞いてみると、私の意見と似たような内容だった。結局、もう少し様子を見てみようということになり、この日はそのまま夜の部の営業へと続いて行った。


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