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10-3: The Power of Initiators(イニシエーターズの力)

ガドラ・ホリシャシャ・エンコシ――南アフリカ支部が誇る最強のイニシエーターズが戦場に降り立ち、その圧倒的な存在感で場を支配した。

ガドラはゆっくりと前へ歩み出る。

その視線は、ただ一人――結城翔へと向けられていた。

「イニシエーターズだかなんだか知らないけど」

結城翔が冷たい目でガドラを見据え、口元に薄笑いを浮かべる。

「君たちはせいぜい上級神徒が限界なんでしょ?」

彼が指を鳴らすと、地面が不気味に揺れ、そこから一体の上級神徒が姿を現した。

「上級神徒、1体出現! ピーターパン以外の戦闘員は即座に戦線を離脱して!」

梓の指示が戦場に響く。

だが、ガドラは微動だにせず、まるで眼中にないかのように、冷静に呟いた。

「見くびられたものだな」

次の瞬間。

上級神徒が吹き飛んだ。

「………は?」

俺は呆気にとられた。何が起きたのか、理解すら追いつかない。

ガドラの姿が一瞬で消えた。

気が付けば、空中を吹っ飛ぶ上級神徒の真上に移動していた。

「ふんっ!」

彼が宙を蹴り、急降下する。

ドォォォォンッ!!

凄まじい衝撃音と共に、上級神徒が地面にめり込んだ。

俺はようやく理解した。

ガドラは――目にも見えない速さで、拳で叩き込んだのだ。

「遅い!」

再生をはじめる上級神徒に、ガドラは目にもとまらぬ速さで拳を叩き込んでいく。

その拳の速度は、もはや視認することすら困難だった。

シュッ――!

シュッ――!

空気を切り裂く音が連続し、その軌道が火花を散らす。

「これ……本当に、人間か……?」

俺は言葉を失った。

ガドラの拳が空気摩擦で火を起こし、閃光を放っている。

それは、もはや拳ではない――閃光の連撃だった。

「すげえ……」

隣で、秋月一馬が息を漏らす。

同じ”拳を武器として闘う者”として、畏怖の念を抱いているのが分かった。

「これまでお前ら特級が姿を現さなかっただけの話だ」

ガドラは消し炭となった上級神徒を踏みつけ、まるで雑草でも踏み潰すかのように言い放つ。

「俺たちイニシエーターズは、上級なんて雑魚に飽き飽きしていたからな」

「ふーん」

結城翔は鼻で笑う。

「でも、そのイニシエーターズの筆頭である矢神は僕らに負け――」

その言葉が終わる前に、ガドラの目が鋭く光った。

戦場全体に、その覇気が響き渡る。

「貴様らが臣永を語るな!」

その一言は、雷鳴のように轟き渡り、場の空気を一変させた。

ただ放たれた言葉一つで、まるで空気が震えたような錯覚を覚えた。

ガドラの全身から湧き上がる気迫は、もはや戦場そのものを制圧する力を持っていた。

「手加減はなしだ」

彼は一歩前へ出ると、両拳を握りしめながら結城翔を睨みつける。

「見せてやろう。これがイニシエーターズの力だ」



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