■地底湖階層
地底湖階層に降りていくと、騒がしくなった。
モンスター達の足音が鳴り響き、地底湖の空気が震えている。
「大量に来ているぞ、目の前の敵をまずは迎撃するぞ! 深追いはするな、地上部隊が迎撃する! 強い奴を中心に相手にするんだ」
”鋼の守護者”のアーヴィンが大声を上げて、冒険者たちに告げた。
さすが年の功、信頼感が違う。
敵はジャイアントスラッグ、リザードマン、湿地トロール、サラマンダー、溶岩ゴーレムなどが種族入り乱れながら迫ってきた。
「アンデットじゃなきゃ、あちしは大丈夫にゃ!」
「ワハハハ、倒したい放題なのだな!」
前衛系のリサとセリーヌが今にも飛び出そうとしているが、静止する。
「ザコも減らせるだけは減らしていこうぜ」
「ジュリアンの言う通りだ、魔法が使えるものは構えて……撃て!」
剣を振るって、アーヴィンが指示をすると魔法が多数、モンスターの集団に飛んで行った。
主に魔法を放っているのは魔法使いが中心の冒険者チーム”ブレイズウィザーズ”である。
リーダーのティアラが
竜巻が起こす轟音にモンスターの叫び声が掻き消えていく。
「弱ったところにとどめをさしていくぞ!」
「うわっ、ずるいにゃ」
「体力を温存する戦い方だといってくれ」
リサの突っ込みを流しながら、起き上がろうとするモンスターを中心に俺をはじめとした近接部隊やアーチャーがとどめをさしていった。
「久しぶりの出番や、気張っていくでー!」
アーヴィンのそばではフィンが矢を放って湿地トロールの頭部を潰していく。
弓の使い方はなかなかのものだ。
「弓でしたら、わたくしも負けていられませんわ」
フィンの弓の技術に対抗してか、エリカも矢を放ってモンスターの数を減らしていく。
だが、その中でも無事なものがジャイアントスラッグや溶岩ゴーレムだ。
両者ともに、その大きさが故に吹き飛ばなかったのだろう。
「厄介なのが残っているな……リサとセリーヌはジャイアントスラッグには近づかないようにな、解かされるぞ!」
「わわわ、服が溶かされたのだ!?」
俺が注意をしている傍からセリーヌの驚きの声が聞こえる。
ビキニアーマーが溶かされたら全裸になるんじゃないか?
「セリーヌは溶岩ゴーレムのほうへ、ゴー!」
「胸部装甲が溶けたが、まだ戦えるのだ! ゴーレムと戦うのだ―!」
ため息をつきたくなるのをこらえた俺は犬でも扱うかのようにセリーヌに指示をだし、ジャイアントスラッグを
「多重詠唱もできるようになったから、戦いの幅が広がったな」
一つずつした唱えられなかった魔法を複数重ねて使えるようになり、俺は戦いを続けて来た意義を感じた。
第一陣をある程度倒したかと思ったら、第二陣の足音が地底湖の奥から響きだす。
「数が多いが、やれるだけやろうか。レイナは爆薬の用意を頼む。こっちが待ち受ける側になるなら、罠を仕掛けられる」
「ようやくうちの出番やな。まかしときー」
レイナがクレイゴーレムと共に爆薬のセットを始める。
その間、少しだけ休憩を俺達はとった。