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第90話 チョコレート

チョコレートを食べる君は、

少しだけだらしない。

指が汚れたり、口の端が汚れたり。

幼い子供じゃないのに。

そんなに汚れた君を見ていると、

そんなにチョコレートはおいしいものなのだろうかと思う。


君は子供じゃない。

それでも本当に汚いものを知らなくて、

甘い甘いチョコレートで汚れて見せる。

なめている、いろいろと。

あまい、いろいろと。


君の汚れた人差し指を手にとって、

ためらいなく口に含んで見せた。

悪いことをしているような気分になる。

それなのに、なんて甘いことだろう。

君は微笑む。

口の端に、チョコレート。


甘くて汚れた関係。

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