思えば遠くに来たもんだは、どこの誰のセリフだったんだろう。
映画だろうか、ドラマだろうか。
とにかく古いセリフのような気がするし、
その古いセリフが今の気持ちには合っているような気がする。
思えば本当に遠くに来た。
若くて未熟なばかりの学生時代、
早く大人になりたいという気持ちと、
ずっと子供でバカばかりしていたい気持ちが、
バランスをとれていなくて、暴走していたのを思い出す。
遠くに来た今現在からその頃をながめると、
本当に何やっているんだかと思うことばかりだ。
それでも、その頃バカやっていた仲間たちは、
自分も含めてキラキラしていた。
あの輝きが届かないほど遠くに来たなと思う。
幼い頃は早く大きくなりたかった。
大人になればできることが増えると信じていた。
大人は万能の象徴だった。
何でもできるし何でも知っている。
そんなものになりたいと思っていた。
小さな手を精一杯未来にのばして、
すべてをつかもうとしていた。
大人になれば何もかもが可能になると信じていた。
純粋に大人の可能性を信じていた頃から、
やはり遠くに来て、
大人はできないことが多いことを知った。
無邪気なあの頃から、遠くにやってきた。
ずるい大人になったと思う。
あの頃のように何もかもは信じられなくなった。
すべての可能性を信じられなくなった。
幼くて未熟だったあの頃の輝きは、本当に遠くになってしまって、
夜空の星よりも本当に小さい。
それでも。
キラキラ輝いていた思い出を思い出すたびに、
心は距離を飛び越えてあの頃に飛ぶ。
無茶をした未熟さや、
バカ話をした友人や、
帰り道に遊んだ友達が、
鮮やかな色彩と輝きを持って立ち現れる。
この輝きは美化されたものかもしれない。
過去が美しいものだと思い込んでいる故かもしれない。
それでも。
キラキラ輝いた季節は、思い出そうと思えばすぐ近くにある。
そして、輝く季節は過去ばかりではない。
あの頃から遠くにやってきたという、
今も輝かせることができるかもしれない。
あの頃のように無茶はできないけれど、
楽しいことはまだまだある。
人生まだまだ宵の口。
過去は遠く、しかし近く。
思い出の中でたくさんの笑顔が輝いている。
楽しい時間はまだまだこれからだ。
あの頃から遠くに来たここで、
思い出を抱えながら、笑おう。
きっとあの頃のみんなもどこかでキラキラ笑っている。