「だいたいどこの国が僕の悪口を言ってるかの統計が取れたね」
「その国とは積極的に交流を控えたいと思いまーす」
「イエーイ」
<コメント>
:待って待って待って
:やめて
:どぼじてそんなひどいことするのぉー!?
:まぁ仕方なし
:相手は世界が認める国だからな
:不満を向ける相手を間違えたな
:でも日本にはNNPの本社がありますよね?
「NNPは国に由来するものじゃなく、うちが投資した会社ですので協賛という形でこれからも協力体制をとっていきますよ。あくまで日本政府との公平な取引はしないって形です」
<コメント>
:ほっ
:よかった
:まぁ政府の判断には国民も嘆いてるからな
:というか、そういう理由ならいくらでも巻き返せるのでは?
「国を挟んでの依頼はできなくなったので、後は基本的に個人取引ですね」
<コメント>
:やっぱりそこに落ち着くか
:これはあれかな? 錬金術師救済案件かな?
「どう取ってもらっても構わないけど、国に掛け合って僕に無理強いすることができなくなるってことは、スペアボディの要請も難しくなるってことを意味するからね。それはローディック師への受注も難しくなるってことだ」
「でも先輩はそれを見越してスペアボディのレシピも公開しちゃうんですよね?」
「そうそう。さすが後輩だね。スペアボディの制作費用は100億からだけど、心強い仲間に取りにいって貰えば材料費はタダ! これを機に探索者と錬金術師はレベルアップして欲しいんだ。そういうわけでもう一個の企画を発表するね」
それこそが今回の目玉。
国として他国と協力体制を築かないということはどこかで不満が爆発するということだ。
特に欲を膨らませたものたちは、どうにかして僕を顎で使いたいと思っている。
自分たちの足元にある可能性を教育するのを諦めている。
つまりはそこにお金を一切かけたくないってことだ。
もったいないよね。
だから僕がそれを提案する。
企画もので、勝手に教育するんなら国がとやかく文句を言ってこないだろうからね。
とはいえ、手柄だけ持っていかれるのは癪だな。
どうにかして報酬でうちの国に紐付けしていかなくちゃ。
にゃんにゃん王国御用達、とかなんとか。
そういうのは僕が考える仕事じゃないな。
後輩に任せとこ。
「というわけで、バトルウェーブバーサスのミニ企画を開催したいと思いまーす」
パチパチパチ。
後輩がすぐ横で拍手をして盛り上げてくれる。
<コメント>
:ミニ企画?
:さっきの話の流れでこれがくるってことは?
:嫌な予感がするぜ
「薄々勘付いてる人がいると思いますが、これは実際に素材を落とすモンスターの生息区域に赴き、その場で討伐、錬金してもらうという企画です。迫り来る敵を薙ぎ払い、誰が多くレシピを完成させるか! を競い合うものですね。ミニ企画なのでイージーモードもありますが、入手難易度が緩和する都合上、素材要求数は上げさせてもらいます。100個なら1000個と、およそ10倍ですね。なお、ノーマルが本来の強さです。物足りない人のために敵の強さを強化して、素材要求数が緩和するハードモードもご用意してます」
「こちらはトールさんのところに全く伺いを立ててない、にゃんにゃん王国専用モードですので、お支払いはにゃんでお願いしまーす」
<コメント>
:なのにバトルウェーブの看板掲げてるのか
:トール、涙拭けよ
:これ、完全に情報すっぱ抜かれてるな
:だからって模倣するか? 普通
:これが技術力の差か
「まぁ模倣と言っても、スペアボディや転移陣はうちの特許ですし、にゃんにゃん王国はVR空間ですので。そこに専用ダンジョンを創造するくらいは朝飯前なんですよね」
「なんならバトルウェーブバーサス自体がうちの技術で作られてるし」
<コメント>
:あっ
:あれもVRだけど別にスペアボディは使わんかったもんな
:つまり、今までトールは情報提供だけでほぼタダで稼げていたと?
トール:バレてしまったっスか
:俺たち騙されてたんだな
:ひどい! トールのファンやめます
:でもにゃんをとるってことは、本来のダンジョンを使用しないと?
「そこはうちが作ったゲームですからね。あと、添い寝杯に出場できないうちの子供達も参加します。流石生まれたばかりの子供達を地下勢力のガチバトルに巻き込ませるのは親として心配なのでね」
「ほう、貴様の指示に従うのは不快だが、我の蹂躙する相手を選別してくれたことだけは褒めて遣わす」
「兄さん、お父様にあまり失礼な口を聞くと組んであげませんよ?」
「言ったな? 聖弥。貴様などそもそも必要ない。我も錬金術の熟練度はすでに200。あいつの血を受け継いでいるからな。あとで吠えずらをかいても知らぬからな? 我という強力な戦力を取りこぼしたことを」
「相変わらず自惚れがひどいようですね兄さん。ですが、私だって相当戦えるはずです」
「ならばハードモードで競い合おうではないか」
「望むところです」
<コメント>
:なんか息子くん達がいがみ合ってません?
:特になんの言及もしないってことはいつもなんやろうなぁ
:俺様系先輩とメガネ系先輩か
:見ていて可愛さが溢れてることを、言っちゃダメなんだろうなぁ
:しー
槍込ヒカリ:REC
:あっ
:先輩も可愛ければ子供も可愛いか
:不思議だな、盗撮のはずなのにホームビデオの撮影にも見える
:やってることは訴えられても仕方ないのにな
:誰にも訴えられない権力を得ちゃったものな
「ちなみに兄妹は全員参加。僕も後輩と参加しまーす」
「ランキングには出ますけど、報酬は無効になるのでポイントの参考程度にですね」
<コメント>
:それはご子息達も?
「うちの子はハードモードに参加するっぽいから、そこで普通に戦ってもらうよ。僕らはノーマルモードだ。ワハハ」
<コメント>
:これは熱くなってきました
:むしろ探索者チームはここで国にアピールするチャンスか?
:錬金術師もだろ
:ランキングは成果物の納品で行われるからな
:あ、そうか
:ポイントの詳細は?
「そういえば話してなかったね。後輩、テロップ出して」
「はーい」
そこに記載されてるのは世にも奇妙なお品書き。
★【105】記憶保管庫___100にゃん
★【130】ルナポーション_ 10にゃん
★【130】定着剤_____ 20にゃん
★【150】瞬間冷却器___ 30にゃん
★【180】精神分裂剤____150にゃん
★【200】安定剤______ 10にゃん
★【210】エレメンタルバースト 20にゃん
★【220】ホロゴーストの怨嗟_30にゃん
★【250】スペアボディ___300にゃん
★【250】エリクサー____ 10にゃん
★【260】模造ラストエリクサー20にゃん
★【270】ラストエリクサー_ 30にゃん
「と、こんな感じになっております」
「おい貴様! 熟練度200では全然足りぬではないか!」
「え、僕は事前に兄弟で協力することを要求したよね? でも君達は己の力を過信して勝負に挑んだ。まさか負ける可能性が出てきたから勝負を逃げるってことはないよね? 神輝はそんなみっともないことはしないってお父さんは信じてるよ」
「ぐぬぬ」
<コメント>
:めちゃくちゃいい顔して言ってら
:逃げ場なくしてるだけ定期
:これは恨み抱きますわ
「こら神輝、ダメでしょお父さんにそんな口を聞いちゃ。それとも今からノーマルにする?」
「今更発言の撤回はせぬ。だが、高ポイントの獲得ができぬところで低ポイントを増産させればいいところ。舐めた口を聞いたことを後悔させてやろう」
「よーし、じゃあお父さんと勝負だ!」
「あとで吠え面をかくなよ?」
<コメント>
:今さらっと見えちゃいけないお品書きが見えた気がするんだけど
:気のせいだろ
:エリクサーって書いてあるね、スペアボディのとこ
:あれって売りに出せば数十億は下らないっていう?
:なんでそんなのが提出で10にゃんにしかならないんだ?
:【ヒント】先輩基準
:あっ
:100億からスタートって言ってる時点で
:先輩の中では大した価値じゃないんだろうなぁ
:待て、これ何個要求されてるんだ?
:そりゃ参加者じゃないとわかんねぇよ
:これが熟練度を乗り越えてきたものの発言か
:神輝くん、吠え面かきそう
:ごめん、初見なんやけどラストエリクサーって何?
:俺としては模造ラストエリクサーが気になる
:代用品で作っちゃえるものなんだ?
:一体何を何で代用するんだろ
:玉こんにゃく、玉こんにゃく来い!
:流石にそれはないだろ
:スライムコアじゃないんだから
「まぁエリクサーなんて材料さえあれば上級融合なしで作れるからね。一応、記憶保管庫の階層、精神分裂剤の階層、スペアボディの階層と分けてあるからね。そこである程度鍛えてから下の階層降りるでもいいからさ」
<コメント>
:優しい
:優しいか?
「参加者にはなんと無料でレシピがもらえちゃいます! つまりこの企画を発表した時点で完全に『にゃん』以外での取引が終了するって意味も込めてまーす♡」
「この企画は、うちの子達の教育も込めてるので、開催期間は半永久的! つまり国はうちに何もいえなくなるわけですねー」
「イエーイ!」
<コメント>
:まぁそうやろな
:初期費用100にゃんだけが足枷か
:トール主催のバトルウェーブバーサスの方でもまだ『にゃん』は稼げるから
:NNPが退散したら終わるぞ
:あっ
:全部先輩達の手のひらの上なんよな
:怖いお人だぜ
:これイベントに国が介入してきたら……
:永遠にスペアボディのレシピが封印されるってことだからな
:転移陣を! 転移陣をお願いします!
:それとっくに公開済みだぞ、秘匿してる連中は練金術協会だ
:世に出せないってことを意味してるんだよな
:誰も真似できねぇ熟練度を要求されるらしい
:いくつ?
:350♡
:ばか♡