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第101話 先輩、企てる

 最初こそ、反応の薄かったレシピの公開。

 しかしその内容に飛びついた人物がいた。

 やっぱり気がつくよなぁ。

 今回公開したのはこちら。


 <難易度105>記憶保管庫

 <難易度130>ルナポーション

 <難易度130>定着剤

 <難易度150>瞬間冷却器


 随分と難易度に偏りがあるって?


 そりゃそうさ。だって記憶保管庫はその難易度で作れるってだけで素材がそれ以上の難易度で作らなきゃいけないからさ。

 難易度の低さは手軽さやお値段では決まらないんだよ。

 それ一個を作るだけで徒労に終わるレベル。


 僕も精神を分裂させてなきゃ、企画段階で投げつけてたね。

 楽して作れるもんじゃないから、これを機に投げつけたってわけ。作るなら作るけど、然るべきお値段をもらうよってだけさ。


 でもまだこっちの通貨の相場が地上で定まってないので、正確な値段づけは控えてるって感じ。

 賞金としての提出はしてるけどね。


<コメント>

ローディック:まさか、もう公開するのか? 早すぎる

:え、それそんなすごいものなの?

:ちょっと興味出てきた

:内容を詳しく


「なんてことないやつだよ。僕が普段精神を分離させて行動できるタネみたいなものだし。実はローディック氏にひとつ渡してるんだよね。それで彼は今一人では実現不可能なミッションに取り掛かってる。それがスペアボディの製作というわけだ」


<コメント>

:待って、想像以上に大変なもの出てきた

:もしかしてこれ、スペアボディの道のりの一つ?

:先輩や政府に頼らなくてもスペアボディが?


「素材費込みで、なんと製作費10億からになりまーす」

「なんとそのスペアは復活しないんですねー」

「10億で復活できるスペアボディなんて作れるわけないでしょ! いい加減にして」


<コメント>

:は?

:へ?

:つまり、どういうことだってばよ


「どうもこうも、スペアボディなんて作れば作るほど赤字になる商品、僕も作るのは懲り懲りだってこと。製作期間に製作費用。それだけで個人は頭を抱えるよ。現に今だって安価な商品作るので一杯一杯でしょ? 僕たちも慈善事業じゃないのでなるべくなら関わり合いになりたくないんだよね」


<コメント>

:そんな時のー?

:代用品、ですよね?


「言わんとすることはわからなくないが、代用素材を用いてのスペアなんて品質だだ下がりで僕の提供するスペアを大きく下回るけどそれでもいい? 蘇生不可、生存年数1年、記憶保管庫で精神を毎回セーブする必要あり。まぁスケープゴートとしての変わりぐらいはできるかもね」

「なんで先輩がそれらを提供するのに既存のお金を使わなくなったかってことですよねー」


<コメント>

:あ、これ

:つついちゃいけない薮だったか

:みんな、大事なこと忘れてるぞ

:なんだよ、大事なことって


「お、鋭いリスナーさんがいますね」

「なんだよ、うまく誤魔化せると思ったのに」


<コメント>

:やっぱり、そういう計画か

:さっきからなんの話してるんだよ

:もう忘れたのか? 先輩は一度公開したレシピ商品を二度と販売、プレゼントしないってルール

:あっ

:そうじゃん

:もしかして、これ俺たちが国の責任を負わされるってことぉ?

:ムリムリムリムリ

:どうして先輩がウキウキでそれを発表してきたかわかったぜ

:さっさと手元からおさらばさせたかったんだな


「でもまぁ、それは僕の正体が判明するまでのルールだからね。流石にプレゼント企画はもうやらないし、新通貨の『にゃん』で今まで通り取引可能だよ」

「果たして相場でいくらになるか楽しみですね」

「むくみ取りポーション如きで一万にゃん。あれが市場でどの値段で出回るかが見ものだよな」

「ですね」


<コメント>

:悪どい顔してますなぁ

:スペアあるのに本体の美容に気を回す奴があまりにも多くてな

:スペアは死んだら元の顔で復元されるんだから当たり前

:死ななきゃ良くない?

:いつどこでダンジョンがブレイクするかわからない状況だぞ?

:なんでそんな状況でもメイクに命かけてんだ

:女は死ぬまで可愛いと言われたい生き物だから


「それはにゃん族になっても変わらないですねー」

「後輩は昔から可愛い系だったろ?」

「先輩に言われるのはちょっと複雑です」


 なんでだろうね。そこは競う場所じゃないだろうに。


「はい、そんなわけで記憶保管庫の紹介でしたー」

「やっと肩の荷が降りたって感じだな」

「お疲れ様です」

「むしろこの熟練度になってようやくというか、素材の方が熟練度が高い代物の方がここから多くなるからな」

「そうなんですか?」


<コメント>

:どうして後輩ちゃんが知らないんですかね?


「なんで私が先輩の研究の全てを理解できてると思ってるのか。これがわからない」

「後輩はいかに僕を愛でるかにだけ注力してるから」

「ですねー」


<コメント>

:おい、認めたぞ

:まぁ熟練度に大きな隔たりがあるとわけわかんなくなるからな

:よくそれで共同生活できるもんだ

:先輩が可愛いからだろ

:先輩を愛でて愛でまくった結果がこれだぞ

:製薬会社の片隅で日の目を浴びずに搾取の限りをされてたらインドは滅んでたってわけか

:滅んでたのはインドどころじゃない定期

:スペアボディもなければ転移陣も未発表だしな

:ガイウスやキングたちに装備わたらなくて、日本はとっくに消滅してた件

:そうじゃん!

:先輩もろともか?

:それは大きな損失だ

:何回でも言うけど、みんな先輩を軽視しすぎなんよ

:いや、威厳があまりにもなくて

:威厳って大切だったんだな


「飴ちゃん美味しい」


<コメント>

:言ってる側からこれである

:この可愛さよ

衣装代:1000にゃん

:お、にゃんで支払う猛者が現れたか?

:日本人じゃない定期

:あまりにワールドワイドで母国語でも全然通じちゃうからな

:後輩があまりにも有能すぎた

:この後輩ちゃんだからこその先輩である。

:それなー


「アイスキャンディもありますよー練乳の」

「リスナーが変な視線向けてくるからヤダ!」

「チッ」


<コメント>

:かー、見んね卑しか女ばい

:舌打ちごちそうさまです!

:先輩がエロコンテンツしちゃうからNG

:ウッ、ふぅ……そうだぞ、イエスロリータノータッチだ

:すでに何か致した後に言われてもな

:なんで今の発言NGにできなかったんだ?

:世界が危機で、地下もそれなりにピンチなのにこの和やかさである


「対岸の火事だからねー」

「こっちに損益が出たらいい加減重い腰はあげますよ。今は身内の強化が優先ですか」

「我の席は当然用意してあるんだろうな?」

「私の席もあるか気になってます」

「オレのも当然あるよな?」


<コメント>

:一気にきたな

:未紹介の子も来てる

:メガネちゃんか


「メガネ君、なんだよなぁ。聖弥、自己紹介してやりなさい」

「はい、お父様。私は聖弥。お父様とお母様に愛されて生まれてきたりゅう族でありながらにゃん族の頭脳を持つ超エリート・納めた錬金術熟練度は300と少しでしょうか」

「うちのエースなんだよね、彼」

「まだ生まれたばかりなのに賢ーい」

「熟練度ばかり高くても仕方ありませんよ。いまだお父様の芸術的センスには敵いません。自分でもお父様に混ざって研究室に入室してますが、足を引っ張ってばかりの若輩者ですよ」


<コメント>

:300ですら若輩者って何?

:そりゃ100離れたら理解不能よ

:先輩がどこを見据えて話してるかもわからんのに

:完全に手のひらの上よな

:俺たち、舐められすぎじゃね?

:負けらんねぇよなぁ

:ちなみに、生まれてくる子は全員そのくらいの熟練度ってこと?


「流石に聖弥以上の熟練度はいないな。平均で150くらいだ」

「お母さんである私よりも高いのは解せませんけどね」

「父親の素養が高いからかな?」


<コメント>

アメリア:つまり、添い寝すればあたしの子も?


「可能性はありますね。その場合、地上に身柄を返却することはできなくなりますが。ベースがにゃん族ですからね」


<コメント>

アメリア:全然大丈夫だぞ!

:まぁ、それで爆増されたらオレらの立場が本当になくなるから

:国はあなた達にゃん族の受け入れ体制ができています

:ぜひ地上に住みませんか?

:勧誘必死で草

:そりゃ『にゃん』を稼ぐより確実だからな


「浅はかですねぇ聖弥ですら先輩のレシピは手に余ると言ってるのに。正直これ、先輩以外の誰が作れるんです? って言う代物ばかりなんですよね」

「レシピの公開はしたけど、成功率1%だから失敗する前提なんだ。ワハハ」


<コメント>

:ほう、つまり?

:確保しても研究に興味ない場合がある

:生粋の戦士だから作るより壊す方が得意

:猫のように気まぐれな性格

:上位錬金レシピは確率で成功率が決まる

:素材を湯水のように溶かせる環境にいるやつだけが勝ち組

:そこに熟練度は少ししか関われない

:こんなところかな?

:うちの国、にゃん族受け入れやっぱ拒否するってさ

:熱い手のひら返し!

:さっきと言ってること違うやんけ

:保護するなら先輩が望ましいって


「もう国王なんだよなぁ。完全に手順をミスってるよね」

「それはつまり宣戦布告ということですか? 国名を教えてください」


<コメント>

:日本

:日本

:中国

:アメリカ

:日本

:アメリカ

:韓国

:アメリカ

:ロシア

:イギリス

:ウクライナ

:カナダ

:中国

:インド

:アメリカ

:カナダ

:インド

:日本

:フランス

:韓国

:パキスタン

:韓国

:フィリピン

:日本

:中国

:日本

:韓国

:日本

:アメリカ

:インド

:フランス

:インド

:イタリア

:インド

:日本

:インド

:韓国

:インド

:インド

:なんかさ、発言してる内容とは別の所属国名が出てくるんだけど、何?

:きっとこの前の大塚秋生案件

:あのちくわ大明神事件か

:今度は所在国発表マシーンになってるわけか

:キーワードは大統領?

:政治関係だな

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