「ハハハハッ! 良いですぞッ! とても醜い殺意ですぞッ!」
歪みから現れて来たのは。
だぼだぼの赤いフード付きパーカーを身に付けた、不健康そうな赤毛の男。
見た目、普段部屋に引きこもってそうな痩せてて血色の悪い男だ。
……あいつは妖魔神三人衆のひとり!?
私たちは
「あなた妖魔神ねッ!?」
「隠しても無駄よッ!」
同時にそう言葉をぶつけた。
すると赤いパーカー男は私たちに気づいて
「その通りですぞ! 拙者の名前はマイン。妖魔神帝フレアー様の一の忠臣……」
何か言い出したけど、私たちはこいつの言い分には興味が無いから
「妖魔獣は何処ッ!?」
悪の気配を感じたんだ。
近くにいるに決まってる。
そう思い、周囲を見回す。
だけど。
居るのはシンヤさんと3人のおばさんのみ。
……まさか
「そう! そのまさかですぞッ! その3人の高齢女は全て妖魔獣! ここに至るまでに、通りすがりの若い女性を襲いまくりですぞッ!」
私たちの考えを見透かして、マインという妖魔神の言葉。
なんてことだろう……絶対にこいつらを倒さないと。
被害が元に戻らない。
「閻魔さん! 変身しよう!」
そう言って、六道ホンを取り出す国生さん。
だけど私は
「待って! あのお兄さん、コンビニ店長だよ!」
手で国生さんに制止の意思を示した。
「え!? それは困る! どうしてコンビニ店長がこの町にいるの!?」
戸惑いと、意味不明の状況に苛立ちを隠せない国生さん。
……そう。
実は先週から早急に、この阿比須町からコンビニは消えているんだよね。
今ではほぼコンビニが無い。
代替施設のスーパーの建設はまだだけど、先に迅速にコンビニの撤去を進めたんだ。
だからこの町に、コンビニ店長はまず居ない。
そのはずなんだけど……
変身不能。
その状況でフリーズしてしまう私たち。
そんな私たちを尻目に
「フレアー様さらなるお力を! この3体の妖魔獣に、大いなるチカラを!」
両手を広げたマインのシャウト。
その叫びに反応し、純白のエネルギーが発生し、3つに分裂。
そしてそのまま、3人のおばさんに降り注いだ。
「るおおおおおお!」
「ぬふうううう!」
「ほげええええ!」
奇声を発し、おばさんたちは輪郭を失い、1つの
複数の触手を生やした、黒いイソギンチャクのお化けみたいな化け物……妖魔獣に。
その触手の先には、刃物、棘、鈍器がある。
それを振るって、街を破壊し、人を襲う。
「何故私たちが無視されるー!」
「全て男社会が悪いー! オチ●チンめー!」
「私の邪魔をする若い女は死ぬか、私に服従しろー!」
そんな鳴き声をあげる妖魔獣には、3人の人間の顔がくっついていた。
……あの、3人のおばさんたちだった。