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第1章 第2話 ポチ⑫

「えへ。僕、嬉しいです。こんなに人間さんに優しくされたのはじめてで」

「えー」


「みっちゃんは優しい人です」

「そんなことないよ」

「えへへー。みっちゃんすきですー」


 ポチの笑顔に困惑しつつ、真意を探ろうと視線を部屋中に巡らせた。何もしてないのに溺愛されるのはフィクションだけだ。


「さてはオメー、マンション買わせる気だな」

「えっ!?」


 私はソファーから飛び降り、ポチと距離を取る。

「だ、騙されないぞ!」

「???」

 本気できょとんとしている。演技だったら怖い。


「……な、なんで?」

「はにゃー?」

 なんだその小動物みたいな返事は。ていうか、


「何で私のこと好きなの?」

「みっちゃんは遊んでくれるからです~」

 即答。しかも、小学生みたいな理由で。


 ポチは、にこにここちらを見つめている。そういえば、この子と関わることが『仕事』なのを忘れてたし、ああだから仕事なんだってなんとなく察した。


 頭を押さえて「はー」とため息をつくと、ポチが『あ!』と何か思い出した風に言った。

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