第1章 第4話 ヒーローの敵(アンチ)⑦
猿山が笑顔で、ゴルフクラブを振り下ろす。うずくまったポチの腕に、背中に、脇腹に振り下ろされて、そのたびに小さく悲鳴をあげた。
「やめて……やめろぉおお!!!!」
猿山に向かって飛び出した。ゴルフクラブの先がこちらに向かってきて、あ、やばい。これ死んだかも。
「い゛ッ!!」
右手の人差し指が(たぶん)折れた。
「おい! みっちゃん大丈夫か!?」
指を押さえる私に、蟹原部長があわてた表情でキャスター椅子を蹴っ飛ばして立ち上がった。ああ、私相手だとそういう表情もできるんだなぁ。