だって、蟹原部長に指を差されたポチは泣いていたから。それに、一緒にゲームをしたときに笑った顔も、困った顔も、全部ニセモノだなんて私には思えないから。
「馬鹿が! 死ぬぞ!! 俺は言ったからな!!」
「行こう」
ぼろぼろと泣きながらしゃがみ込んでいるポチに手を差し出すと、暖かな手が握り返してくれた。