どうして? と改めて聞かれると返答に困る。何で、私はポチを助けたんだろう。助けたいと思うのだろう。
もちろん、正義感からではない。そりゃあ私だって善悪の区別はつくし人並みの正義感は持っている。
だからと言って、人権活動家でもないし大した思想もないし、差別イジメ絶対許さない! いじめられてる人をみたら絶対助ける! みたいな正義の心まで持っているわけではない。
じゃあ私は何で、ポチを助けたんだろう。何で、助けたいと思うのだろう。
私が返答に困ってしばし沈黙していると、アイリはテーブルの上に肘を乗せ、手を組んでその上に顎を乗せた。こちらをじっと見て、形のいいピンク色の口紅に彩られた唇がきゅっと吊り上がる。
「それ、ちょっと困るかも」