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第2章 第5話 狂気なる平穏⑤

 赤コーナー 桜井 アイリ


「あのね! 女子はお金がかかるの!! 服とか化粧とか靴とかバッグとかさぁ~。でも、男は何もしないでしょ。すっぴんヨレヨレのシャツとジーパンで来る。じゃあ奢らなきゃダメじゃな~い?」


<女性のほうがデートにお金がかかるので、男性は奢るべき。>



 白コーナー 猿山 ユウタ


「はぁ!? 男だって髭剃ってるんだが!?」

「女も剃ってますけどぉ~? つーか、あたしは全身脱毛やってっから!」


(しばらく口論)


「お前らよく男女平等っていうじゃん。でも飯は奢れとか、都合のいいところだけ甘い汁吸おうとして意地汚いんだよ。大体女さんは自分の好きな恰好してるくせに、男のためだってすり替えて飯代を奪おうとする。これってもう山賊と変わらねぇだろ!」


(中略)


「大体さ、お前ら女さんは女友達と飯行くときは割り勘じゃん。その時点で答え出てるんだよ。男から金をむしり取るのが目的。は~い論破!」


<男女平等を求めるなら割り勘にしろ>





 アイリと猿山は、お互い言いたいことを全部吐き出し、ぜぇぜぇと荒く呼吸をするとこちらを向いて


「「アタシが」「俺が」正しいよな!!!?」」




「……帰りたい」

 そのときの私は、死んだ魚の目をしていたと思う。

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