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恋の誘導尋問~恋に不器用なアイツから僕は彼女を略奪する~ 綾瀬川澄司編6

☆☆☆


(さてと、午後から笑美さんの会社で打ち合わせがあるんだよな。手ぶらで行くのもなんだから、なにか買っていこう)


 スマホで管理しているスケジュール表をチェックしながら、今後の作戦を練る。どうやって佐々木さんに打撃を与えるか――いろいろ考えるだけでも、かなり楽しい。


 僕が笑美さんに興味を抱いたことを知った向こうの上層部が、彼氏である佐々木さんを今回のプロジェクトから外してくれた。


「これだけでも、それなりにダメージを負ってるはずだよね。でも僕はそれだけじゃあ物足りない」


 知り合いの女のコから送られてくる、たくさんのLINEを無視して、スマホをポケットにしまう。せっかく笑美さんとLINEで繋がったのに、彼女からのリアクションがまったくないのが、今の気持ちを表しているといったところだろう。


 僕からLINEをしてもいいけど、彼女の返事が社交辞令になるのがわかるので、あえて送っていなかった。


「女のコが喜ぶプレゼントといえば、アクセサリーや花束だけど……。まずは笑美さんが好きだと言った、ピンクのガーベラの花束を贈ってみるか。佐々木さんが彼女に、花束のプレゼントをしていないことを祈る!」


 花屋までの道筋と笑美さんの会社までの最短距離を考えながら、会社をあとにしたのだった。

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