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(さてと、午後から笑美さんの会社で打ち合わせがあるんだよな。手ぶらで行くのもなんだから、なにか買っていこう)
スマホで管理しているスケジュール表をチェックしながら、今後の作戦を練る。どうやって佐々木さんに打撃を与えるか――いろいろ考えるだけでも、かなり楽しい。
僕が笑美さんに興味を抱いたことを知った向こうの上層部が、彼氏である佐々木さんを今回のプロジェクトから外してくれた。
「これだけでも、それなりにダメージを負ってるはずだよね。でも僕はそれだけじゃあ物足りない」
知り合いの女のコから送られてくる、たくさんのLINEを無視して、スマホをポケットにしまう。せっかく笑美さんとLINEで繋がったのに、彼女からのリアクションがまったくないのが、今の気持ちを表しているといったところだろう。
僕からLINEをしてもいいけど、彼女の返事が社交辞令になるのがわかるので、あえて送っていなかった。
「女のコが喜ぶプレゼントといえば、アクセサリーや花束だけど……。まずは笑美さんが好きだと言った、ピンクのガーベラの花束を贈ってみるか。佐々木さんが彼女に、花束のプレゼントをしていないことを祈る!」
花屋までの道筋と笑美さんの会社までの最短距離を考えながら、会社をあとにしたのだった。