やがて、娘が嫁ぐことになった。
いざ出立、という時に、
趙母が娘に対して言う。
「いいですか、行いを慎むのです。
善かれ、と思ったことも、
してはなりませんよ」
え、どゆこと?
娘は聞く。
「良かれ、と思ったことが
ダメであれば、
これはいけない、ということを
なすべきなのでしょうか?」
すると母氏は答える。
「良かれと思ったことですら
ダメなのです。
ましてや、悪しきことなど!」
趙母嫁女,女臨去,敕之曰:「慎勿為好!」女曰:「不為好,可為惡邪?」母曰:「好尚不可為,其況惡乎?」
趙母は女を嫁す。女の去るに臨み、之に敕して曰く:「慎みて好ましきを為す勿れ!」と。女は曰く:「好ましきを為さずば、惡しきを為すべきや?」と。母は曰く:「好ましきを尚お為すべからずば、其れ況んや惡しきをや?」と。
(賢媛5)
趙母
虞韙が死ぬと、その才能を惜しんだ