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趙母   況んや悪しきをや

の人、虞韙ぐいの妻は聡明だった。

ちょう姓の母なので、趙母ちょうぼと呼ばれている。


やがて、娘が嫁ぐことになった。

いざ出立、という時に、

趙母が娘に対して言う。


「いいですか、行いを慎むのです。

 善かれ、と思ったことも、

 してはなりませんよ」


え、どゆこと?

娘は聞く。


「良かれ、と思ったことが

 ダメであれば、

 これはいけない、ということを

 なすべきなのでしょうか?」


すると母氏は答える。


「良かれと思ったことですら

 ダメなのです。

 ましてや、悪しきことなど!」




趙母嫁女,女臨去,敕之曰:「慎勿為好!」女曰:「不為好,可為惡邪?」母曰:「好尚不可為,其況惡乎?」


趙母は女を嫁す。女の去るに臨み、之に敕して曰く:「慎みて好ましきを為す勿れ!」と。女は曰く:「好ましきを為さずば、惡しきを為すべきや?」と。母は曰く:「好ましきを尚お為すべからずば、其れ況んや惡しきをや?」と。


(賢媛5)




趙母

虞韙が死ぬと、その才能を惜しんだ孫権そんけんが彼女を後宮に引き入れた、とのこと。以降彼女は趙姫と呼ばれるようになる。孫権にとか、相当の才能ですわね……。

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