かれは竹林七賢の最年長者、
この時の山濤の評価コメントは以下。
「清廉にして、欲が少ない。
かれに変に取り入ろうとしても、
かれがそれに応じることはないだろう」
もっとも、推薦は却下されたが。
さて、そんなかれが
一回誰かに入れあげるとどうなるか。
阮咸、おばの召使いであった
そんなおばが、阮咸の母の喪中に
遠くに引っ越すこととなった。
おば氏、阮咸が鮮卑の娘に
べた惚れなのを承知していた。
だから引っ越す際には、
彼女を残していく、と、
……たぶんリップサービスだよなこれ。
が、阮咸。本気にした。
リップサービスである以上、
当然引っ越しに当たっては鮮卑の娘も
一緒に引っ越すこととなる。
阮咸さん、そんなん知らんがなである。
母の葬儀に参列していた客の馬を借り、
喪服のままで馬を飛ばし、
おばに追い付くと、
鮮卑の娘を引き取った。
そして、二人して自宅に戻ってきた。
「おれの子を失うわけにはいかんのだ!」
そう、この鮮卑の女性こそが
あの
ってこれ、つまりこの段階で
孕んでたってことだよな?
山公舉阮咸為吏部郎,目曰:「清真寡欲,萬物不能移也。」
山公は阮咸を舉げ吏部郎為らしめんとし、目して曰く:「清真にして欲寡なく、萬物にては移ろう能わざりたるなり」と。
(賞譽12)
阮仲容先幸姑家鮮卑婢。及居母喪,姑當遠移,初云當留婢,既發,定將去。仲容借客驢箸重服自追之,累騎而返。曰:「人種不可失!」即遙集之母也。
阮仲容は先に姑が家の鮮卑の婢を幸いす。母が喪に居すに及び、姑は當に遠きに移らんとせば、初に當に婢を留めんと云う。既に發せるに、定めて將に去らんとす。仲容は客が驢を借り、重服を箸きて自ら之を追い、騎を累ね返る。曰く:「人が種に失いたるべからす!」と。即ち遙集の母なり。
(任誕15)
阮咸
中原名士に長男の