西晋時代華やかなりしころ、
贅沢の限りを尽くしたことで知られる
金谷の集い、と言う詩会を開いた。
ここで文人の
投分寄石友 白首同所歸
いま我々は石崇どののもとに、
立場、生まれを投げ出し、集まった。
我らのこの白き首、
いつか、同じところに還るであろう。
さて、
石崇が、寵姫の
くれなかったことを恨んでいた。
また
そこの御曹司の潘岳に
よく足蹴にされていたことも恨んでいた。
そんな孫秀が司馬倫の尻馬に乗り栄達、
あるとき潘岳、中書省をずんずん歩く
孫秀に出食わしてしまう。
逃げ隠れは無理。
ならば、こちらから行くしかない。
「お久しぶりです、孫秀様。
以前の交わり、
覚えておいででしょうか?」
孫秀、慇懃な潘岳に対し、答える。
「あぁ、それはもう。
潘岳、察する。
あっこれ一億%だめなやつ。
後日、石崇や
潘岳も同日に捕まった。
先に収監された石崇。
後のことは、よくわからずにいた。
なので刑場で潘岳と出くわしたことで、
初めて事態の顛末を悟るのだった。
石崇は、言う。
「そなたもであったか、潘岳殿」
潘岳も答える。
「叶ってしまいましたな。
――白首同所歸、が」
孫秀既恨石崇不與綠珠,又憾潘岳昔遇之不以禮。後秀為中書令,岳省內見之,因喚曰:「孫令,憶疇昔周旋不?」秀曰:「中心藏之,何日忘之?」岳於是始知必不免。後收石崇、歐陽堅石,同日收岳。石先送市,亦不相知。潘後至,石謂潘曰:「安仁,卿亦復爾邪?」潘曰:「可謂『白首同所歸』。」潘金谷集詩云:「投分寄石友,白首同所歸。」乃成其讖。
孫秀は既に石崇の綠珠を與えざるを恨み、又た潘岳の昔に之を遇するに以て禮さざるを憾む。後に秀の中書令為るに、岳は省內に之を見、因りて喚びて曰く:「孫令、疇昔の周旋を憶えたるや不や?」と。秀は曰く:「中心に之を藏したり、何ぞの日に之を忘れんか?」と。岳が是に於いて始めて必ずや免れざるを知る。後に石崇、歐陽堅石の收さるに、同日に岳も收さる。石は先に市に送られ、亦た相い知らず。潘の後に至るに、石は潘に謂いて曰く:「安仁、卿も亦た復た爾らんや?」と。潘は曰く:「『白首は歸したる所を同じうす』と謂いたるべし」と。潘が金谷集の詩に云えらく:「分を投じ石を友とし寄る、白き首は歸したる所を同じうす」と。乃ち其の讖は成る。
(仇隟1)
中心藏之,何日忘之? は何晏のところにも出てきた