目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

陶侃8  陶侃さんと母2

陶侃とうかんさんは若い頃、

魚梁ぎょりょうという地の役人になっていた。


任地から陶侃さん、母のたん氏に宛て、

任地の名産である寿司を送った。


すると湛氏、その寿司に封をして、

持ってきた使者につき返すではないか。


そして、使者に手紙を書いて渡す。

以下のように書いてあったという。


「お前は役人に任ぜられておきながら、

 この母に任地のものを送るのですか。

 それは公権の濫用、

 というものではありませんか。


 そのようなものを寄越されて、

 この母のどこに益がありましょう。

 ただただ、お前の迂闊さに対して

 心配が増すばかりです」




陶公少時,作魚梁吏,嘗以坩(魚差)餉母。母封(魚差)付使,反書責侃曰:「汝為吏,以官物見餉,非唯不益,乃增吾憂也。」


陶公の少き時、魚梁の吏に作さるに、嘗て坩(魚差)を以て母に餉る。母は(魚差)を封じて使に付し、反書にて侃を責めて曰く:「汝の吏為るに、以て官物を餉れるを見らば、唯だ益ならざるに非ざらんや、乃ち吾が憂いは增したるなり」と。


(賢媛20)




実際のところこのオカンは厳しい人だったそうなのだが、このエピソードについては三国呉の時代の孟宗もうそうと言う人のエピソードとして残っているそうだ。陶侃さんの質素倹約、あけすけに言えばドケチぶりの演出のために、陶侃さんに合流させましたよ、というのがあらかたの見方なんだそーである。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?