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王述8  王述さんの度量

謝玄しゃげんの父、謝奕しゃえき

かなりツンケンした性格だったそうだ。

思い通りにいかないことがあると、

王述おうじゅつのところに行っては、

思いつく限りの雑言悪句をぶちまける。


そんな不条理なアレの

ターゲットにされていた王述さん、

ではどう対応したのだろう。


努めて平静を保ち、

壁に向かい、不動の心。

そのまま半日を過ごす。


謝奕が罵り疲れて立ち去ることしばし、

王述さん、壁から顔を外し、

側仕えたちに聞く。


「どうだ、あれは行ったか?」

「はい、立ち去られました」


それを聞いて、

ようやく前を向き、座り直す。


王述さんと言えばせっかち。

それは誰もが知る所だ。

しかし、他者の言葉を受け容れる、

その度量の広さには、

みな感嘆していたという。




謝無奕性麤彊。以事不相得,自往數王藍田,肆言極罵。王正色面壁不敢動,半日。謝去良久,轉頭問左右小吏曰:「去未?」答云:「已去。」然後復坐。時人歎其性急而能有所容。


謝無奕が性は麤彊なり。事を以て相い得たらざらば、自ら王藍田に往きて數め、言の肆に極罵す。王は色を正し壁に面し敢えて動かず、半日す。謝の去れること良や久しうし、頭を轉じ左右の小吏に問うて曰く:「去りたるや未だなるや?」と。答えて云えらく:「已にして去りぬ」と。然る後に復た坐す。時の人は其の性の急なれど容る所の能く有せるを歎ず。


(忿狷5)




突然の暴走機関車謝奕……何だこの陳郡ちんぐん謝氏のオモシロパーソナリティたちは……しかし王述さん、謝万しゃまんからの罵声に対しても鷹揚に返してるんですよね。えっ、これってもしかして陳郡謝氏に甘くて龍亢桓りゅうこうかん氏に辛いだけ説?

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