褚裒4 桓彝は語る
あの桓温さまの父は桓彝という。
かれもまた、王導さまらと同世代で、
名を博した人である。
その桓彝さん、褚裒について
コメントしている。いわく、
「褚裒殿はあの超然とした面持ちの裏に
春秋の精神をお懐きなのだ」
孔子が書いたとされる
春秋時代魯国の歴史書、春秋。
魯国に対する批判精神が
多分に込められている本である。
褚裒が、その内面で
散々に人を批判している、という事を
言いたかったのだ。
桓茂倫云:「褚季野皮裡陽秋。」謂其裁中也。
桓茂倫は云えらく:「褚季野が皮が裡は陽秋なり」と。其の裁中を謂いたるなり。
(賞譽66)
陽秋
簡文帝の母上の鄭氏の諱に「春」が混ざっている(鄭阿春)ため、それを避けた、とのことである。うるせー内諱を外に公開してんじゃねえ! 王述を見習え!
桓彝
琅邪王氏ラブ甚だしい人。蘇峻の乱では蘇峻を防ぐため涇県に駐屯。しかしここで涇県の長官である江播が蘇峻軍と裏で手を結んだため、力戦するも敗死。後日息子の桓温は、江播の息子たちをたった一人で皆殺しにしたため、その壮挙を讃えられ立身した。