桓温さま、以前
その頃、
柳の種をまいていた。
数十年の時を経て、
改めて金城の地に立った桓温さま。
あの時まいた柳の種は、
今や立派な幹に枝葉を茂らせている。
ああ、と桓温さまは嘆く。
「木ですらこれだけ見違えるのだ。
ならば、人だけが変わらん、
などという事もまた望めんだろう」
そう言って柳の枝を引き寄せ、
はらはらと涙をこぼすのだった。
桓公北征、經金城。見前為琅邪時種柳、皆已十圍、慨然曰:「木猶如此、人何以堪?」攀枝執條、泫然流淚。
桓公の北に征せるに、金城を經る。前に琅邪為りし時に種す柳の皆な已に十圍なるを見、慨然として曰く「木にても猶お此の如くなれば、此れ人の何をか以て堪えんや?」と。枝に攀ぢ條を執り、泫然として淚を流す。
(言語55)
ここは簡文さまとの仲の移り変わり、
と妄想しておきたいところですね。
しかしいきなりウェットだな。