桓温さま、高士伝を読み、
すると本を投げ捨て、こう言った。
「こんな窮屈な生き方、
誰が好き好んでやりたいってんだ?」
桓公讀高士傳。至於陵仲子、便擲去曰:「誰能作此溪刻自處?」
桓公は高士傳を讀む。於陵の仲子に至るれば、便ち擲げ去りて曰く「誰ぞ能く此の溪刻を自が處と作さんか?」と。
(豪爽9)
か解説ゥー!
陳仲子
かれの兄があまり清らかならぬルートでもって出世したのを忌み、
ある時実家に戻って、母のもてなしを受ければ、その日の食事にはガチョウの肉が共された。
実はこのガチョウ、例の兄からの土産であった。そのことを知らぬまま一通り食事が終ったあと、兄が顔を出す。そして「おっ、俺のお土産、お前も喰ってくれたんだね」などと言う。
それを聞いて陳仲子、すぐさまガチョウを吐き出した。
このようなエピソードが寓居先の地の王にも伝わり、その高潔なるを以て取り立てたい、と招聘された。陳仲子、すぐさま逃げ出して、どこぞとも知れぬ人の小間使いとして一生を終えた。
この場合、桓温が長男である、ことを引くといいんでしょうかね。そうするとむしろ兄貴の立場に同情して、こんな弟はいやだ、的な。