与えてはくれないかい、と。
すると殷浩さんは答えた。
「劉惔か? アレは取り巻き以外は
蹴落としてくるような輩だろう。
猿山の大将みたいなもんだ。
常々思っていたのだが、
なんで奴のために、
あなたがそうもへりくだって、
骨を折ってやらねばならんのだ?」
謝鎮西書與殷揚州,為真長求會稽。殷答曰:「真長標同伐異,俠之大者。常謂使君降階為甚,乃復為之驅馳邪?」
謝鎮西は殷揚州に書を與え、真長を會稽に求む。殷は答えて曰く:「真長は同じきを標し異なるを伐ちたる、俠の大なる者なり。常に君をして階を降らしめんこと甚だしきを為さんと謂ゆ、乃ち復た之が為に驅馳せんや?」と。
(輕詆10)
すっげ、殷浩さん激烈……。
清談の新旧ナンバーワン同士の争いって趣があって、みにくくて良いですな。