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殷浩6  隠者の心のうち

王濛おうもう謝尚しゃしょう劉惔りゅうたんの三名が

墓所暮らしを続ける隠者、

殷浩いんこうのもとを訪れる。


そこで四人は暫し語らうのだが、

殷浩の言葉ぶりには、隠棲に対する

断乎たる決意がうかがえた。


三人が殷浩のもとを辞去する。

王濛と謝尚、肩を落として、言う。


「かれが立たないままでおったら、

 人々はどうなってしまうのだ」


そこには深い嘆きの色があった。

それを見ていた劉惔が言う。


「そなたら、何を嘆いているのだ?

 まさか殷浩どのが

 本当にこのまま立ち上がらない、

 とでも思っているのか?」




王仲祖、謝仁祖、劉真長俱至丹陽墓所省殷揚州,殊有確然之志。既反,王、謝相謂曰:「淵源不起,當如蒼生何?」深為憂嘆。劉曰:「卿諸人真憂淵源不起邪?」


王仲祖、謝仁祖、劉真長は俱に丹陽の墓所に至りて殷揚州に省せるも、殊に確然の志を有す。既に反らば、王、謝は相い謂いて曰く:「淵源の起たざるに、當に蒼生を何如とせんか?」と。深く憂嘆を為す。劉は曰く:「卿ら諸人、真に淵源が起たざるを憂えたるや?」と。


(識鑒18)




ここ最近俗世間でぶいぶい言わせてる殷浩さんしか見てこなかったから、隠者の殷浩さん、すっげえ新鮮である。正直そんな設定、すっかり忘れかけてた。諸葛亮の所で登場した殷浩さんですね。

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