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第28話 究極の選択

 一ノ瀬さんとそのままDUOをすること1時間弱。

 楽しく〇PEXをできた…………訳じゃなくお互い疑心暗鬼になってた。


 「…………一ノ瀬さん」


 【…………なーに?】


 二人して会話こそしているが、目の前の敵を死ぬ気で狩りとっている。


 「…………薄々感じていたと思うんだけど」


 【私もそうかなぁって…………】


 「【サブ垢だよね?!】」


 二人して同時に同じ疑問を相手にぶつけた。


 やっぱもう完全にそうだよね?!

 途中からはお互い気づいてた。


 もうあれだ普通にうますぎる。

 タップストレイフはするし、4000ダメージ近く出すし、動きはちゃんとしているし、アーマーの着替える速度が尋常じゃなく速いし。

 もうこれで初心者なわけがない。


 「【……うん、まぁ】」


 二人して同時に気まずい返答。


 【いやあそぼ―よって誘ってから思ったのよ、あれ?待てよって。…………私のランク見せたら引かれないかなって、遊びづらくないかなって】


 「分かる、相手が気軽にやっているだけのエンジョイ勢、だったら気まずいもんなぁ」


 しかもエンジョイ勢にも二つある。

 本当に何も考えずに、楽しくゲームをする人。

 もう一つはゲームをより真剣にやって、勝利を求めてその過程とかにたのしみを求めるエンジョイタイプ。


 そんで、ぶっちゃけ前者と後者がやると温度感とかが違くなっちゃうこともある。

 そういう時はまぁ気まずいことにことになる、リアルのフレンドとかとやると怒りがちである。

 一ノ瀬さんもそういう経験が過去にあったんだろうなぁ……


 【そうなんだよねぇ…………だから最初は様子見しようかなって】


 よ、様子見?


 「様子見の割には強いキャラ即ピック、最初っから動きまぁまぁだったけどね」


 動き回ってたし。

 結局俺のサポートキャラ全く意味なかったし。


 【いやーよくよく考えたわけよ。あれ?葵君そんなこと気にするかなって】


 おん?


 【いや葵君鈍感だし、もし私の方が上手かったとして、死ぬほど煽ったとしてもなんか努力してうまくなるだろうし、もしめちゃくちゃ萎えてたら、大人のお姉さんぶってあとで葵君にマウント取ればいいし、ちょっと最近私のことをなめ腐ってるしどっちにしてもいいっかなって】


 す、すごい。

 速攻で振り切ってるじゃん。

 というか結局煽るかマウント取るかしてるじゃん。


 「俺鈍感じゃないし、マドンナさんのことをなめ腐ってもないし尊敬もしているよ…………酒飲んでない時とか。あと大人のお姉さんはたまにやってほしい」


 【いや鈍感だけどね?そしてさらっと自分の欲求伝えてきて草】


 「自分に素直に生きていたいって思ってるからね」


 【かっこよくいってる風で、ただ自分の欲望を言ってるだけなんだよなぁ】


 こんなことを言いながらも、ちゃんと敵は蹂躙しているのがバーサーカーマドンナだよね。。


 【でも葵君は真剣にゲームも楽しむひとだと思ってたよ?──】


 なんか急に褒められた。

 そういってもらえると普通にうれしい。

 何事にも真剣に取り組む人みたいにいわれてるみたいで…………

 ちょっと俺この人のことを見直しーー


 【──葵君は性根がガキだから、絶対対人ゲームとかムキになりそうだし!それで煽られたら実力で見返すって感じ】


 「…………あれ俺今喧嘩売られている?」


 なんかいきなりいい話から方向変わったんだけど??


 【ほめてるほめてる、わたしはそういう姿勢嫌いじゃないよ?】


 ほめてるかなぁ…………ほ、ほめてるよな。

 ほめてることにしよう!


 「ならいいや!」


 【やっぱ単純じゃん!】


 あははと一ノ瀬さんが笑う。

 まぁ自分が単純なことは否定はしない。


 「ポーカーフェイス得意なんだけどなぁ…………」


 【絶対嘘!】


 おかしい、俺の中ではうまいはずなんだけどなぁ…………。


 【そういえば本アカの方のランクはいくつなの?】


 本アカかぁ…………。

 本アカなぁ…………。


 「い、一応マスターまでは頑張りました…………」


 【あ~、モチベなくなって、義務でやった感じだそれ】


 そう、このゲーム長くやってきたのとゲームの改悪によって微妙にやる気を失ったのがある。

 それと同時にあの空との件もあって触れなくなっていた。


 そんあこともあって、もういいかなって感は出ていた、というか出ている。


 「ちなみに、一ノ瀬さんは?」


 【え、一応プレ!】


 「あんたもか!」


 ぷれ…………プレデター。

 いわゆる世界上位750人しかなれない、一番上のランク。

 控えめに言って、めちゃくちゃうまい人しかなれない。


 【…………一応言っておくと、前のランクの時でもプレでした!】


 このゲーム一回ランク制度変わったからなぁ。

 今の制度だと前よりは、実力よりもどれだけやったかの時間が優先されやすくなっているからなぁ。

 だからの前のランク制度でもってことかな?


 「さっきの動き見たらわかるよ…………ってのは」


 【ぐふっ…………暇人て言われた気がする】


 まぁそういった。


 「でも単純にすごいね、筋トレもして学業もしてバイトもしてマドンナもして」


 【葵君マドンナはするものじゃないからね? まぁ役割みたいにはなってるけどさ私の】


 「アイデンティティだよね!」


 【マドンナのことめっちゃいじってくるね君!】


 「いじってない、本心!」


 【まあいいけどさぁ……そういや幼馴染ちゃんもやってるんだっけ?】


 「ああ、空…………やってるね」


 なんかすごい嫌な予感がするぞ?


 【葵君とやってるってことは、彼女もうまいんだよね?】


 「うまいっていうかあいつもプレだよ一応」


 【ほうほう、なるほどねん!】


 ふむふむ、と何かを考える様子の一ノ瀬さん。

 嫌な予感がどんどん増していく。


 【よっし、今度3人でやろうよ!フルパで!】


 このゲーム3人でボイスチャットを繋げながらやるのが有利と言われる。

 いつもは俺と空と、もう一人入れてやったりしている。


 「えーやるぅ?」


 【乗り気じゃなくて草、じゃあ私と私の友達と葵君がやるでもいいよ?】


 なんだその究極の選択。

 マドンナの友達は陽キャで怖い。

 でも空と一ノ瀬さんのコンビも怖い。


 「うーん……………………あ」


 ダウンした、殺された。


 【ちょっ葵君?!】


 「いったん悩みます!あとはヨロ」


 【まじ?!】


 うーんどっちがいいか。

 うーん出会いを広げるか、うーん…………。


 難しい。

 おっぱいがいいかお尻がいいかくらい難しい。

 うーん。


 …………


 【おわったよー、かった】 


 なんか普通に勝ってるし


 【きまったー?】


 「うーん…………」


 【まだっぽいね、じゃあ私が決めます!どっちも!】


 「どっちも?!」


 そんな第3の選択肢ある?!


 【楽しみだねぇ!】


 もう一ノ瀬さんにっこにこ。 

 こういう時はどうしようもない。



 「…………まぁ聞いてみますわ」


 【はーい、よろ!】


 はぁ、空断ってくれないかなぁ…………。


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