「はぁ、極楽…」
肩まで浸かると声が出た。
とろみのある液体をすくい上げ、顔を洗う。
独特の匂いが鼻を突くが、それも醍醐味。
天を見上げ、一息。
俗世の穢けがれを洗い流すようだ。
「日本人、なぜ皆そうするんだ?」
「魂に刻まれてる、のかな」
そう答えると、獄卒は血の池の縁で肩をすくめた。