その村には、勇者が使った剣がある。
森の奥に安置されているそれは、誰も引き抜くことができない。
勇者の権能か、魔王の戒めか、根が張ったようだ。
やがて勇者の物語が伝説になったころ、村から一人の少年が旅立った。
一本の木剣を携えて。
それは、勇者の使った木剣が伸ばした枝で作られていた。