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第80話 西側地区での激闘


 ショーン達は、海トカゲ団からの追撃を、何とか乗りきって、アジア人街まで戻って来れた。


 しかし、次はゾンビ軍団に対処せねば成らなくなり、彼等は混乱する中、動くしかなった。



「大変だ、どうしよう? 西側には行けないしっ!」


「東側には、海トカゲ団が襲撃して来ているが…………」


 バリケードの上では、キョンシー兵士と白人冒険者たちが相変わらず、あたふたしている。



「おい、お前ら? 俺たちが西側に向かうっ! ゾンビの相手は任せろっ! みんな、車に乗れっ!」


「ここの警備は任せたぞっ!」


「私たちは、彼等に着いて行くわっ!」


 ショーンが、素早くテクニカルの運転席に座ると、エンジン音を鳴らす。


 リオンとマーリーン達は、混乱する自警団員に向かって叫ぶと、彼等も荷台に乗った。



「全員、乗ったか? 早く向かうぞっ! 向こうには、フレッシャーやジャンピンガーが大量に攻めて来てるだろうからなっ!」


「ああ、ショーンッ! みんな、乗ったよっ! マシンガンの弾も充分に残ってるっ!」


 ショーンが、テクニカルを走らせようとすると、フリンカは後ろで叫ぶ。



「フリンカ、じゃ行くぜっ!」


 テクニカルを猛スピードで、ショーンは走らせて、西側に向かっていく。


 もちろん、右側の建物屋上からは、ジャンピンガーが飛び降りてくる。



 道路や建物の中からは、フレッシャー&キョンシー型ゾンビ達が、続々と飛び出てくる。


 その他にも、エングラー&マッスラー達も、走ってきたらしく、勢いよく突撃してきた。



「見えてきたわっ! あっ! 上から来るわよっ! 火炎魔法を射たないとっ!」


「射ち殺せっ! 車には、ちか寄せるなっ! よし、当たった…………」


「俺の爆弾も、奴等をっ!」


「マシンガンも有るから、心配は要らないよっ!」


 テクニカルの揺れ動く荷台から、リズは屋上に立つ、ジャンピンガー達を見つける。


 ワシントンは、狩猟弓を何度も放ち、落下してくる連中を何体か仕留める。



 スバスが投げた小型爆弾も、何個か炸裂すると、フレッシャー達を、爆風や釘で倒す。


 M2ブローニングは、フリンカが撃ち続ける限り、火を吹き、空薬莢を道路に撒き散らしていく。



「俺たちも射撃援護するっ!」


「火炎魔法なら、私も放てるわっ! 連中、燃やし尽くすわよっ!」


 マニューリンを、リオンは撃ちまくり、マーリーンは火炎放射で、後ろから来る敵を寄せ付けない。



「うわっ! ゾンビが攻めて来ているっ! 大変だっ!」


「クソッ! 戦力が東側に向かったと言うのにっ!」


「とにかく、奴等を近付けるなよっ!」


「うわっ! 殺られた…………」


 バリケード上のワニ型リザードマンは、アサルトライフルを連射する。


 人民服を着ているアジア人冒険者は、弓を放ち、ジャンピンガーを仕留める。



 フルプレートアーマー姿の冒険者は、マジックロッドから、雷撃魔法を放つ。


 白人兵士は、ヘカート狙撃銃を構えたが、頭に強酸を食らってしまい、後ろに倒れた。



「お前ら、気をつけろっ! スピットゲローも混ざって居るからなっ! とにかく、西側に今は向かうからなっ!」


 ショーンは、遠方から強酸を飛ばす、敵の姿を見ると、怒鳴るように仲間に危険を伝える。



「ショーンッ! ファットゲロー、マッスラーも出てきたぞっ! 爆弾は届かないっ!」


「心配するなっ! 弓で射ち抜いてやる」


「私のマシンガンを使えば、奴等は蜂の巣さっ!!」


「何だ、見た事がない連中も混ざっているぞっ! リボルバーで? うわっ!」


 様々なゾンビの出現に、スバスは慌てながらも、爆弾を投げ続ける。


 狩猟弓から、何度も矢を放ち、ワシントンは的確に敵を倒したり、ダメージを与えていく。



 フリンカは、その間に怯んだ連中を狙って、マシンガンから機銃掃射を食らわせていく。



 リオンも、奇妙なゾンビ達を見つけて、リボルバーの銃口を向けて、発砲しようとした。


 しかし、それよりも先に、真っ黒な頭蓋骨を晒した冒険者らしき格好のゾンビは、射撃してきた。



 奴は、目から紫ビームを放ち、他の同じタイプは、口から横凪に紫レーザーを放ってきた。


 この攻撃は、テクニカルに当たらなかったが、かなり強力な暗黒魔法である事は間違いない。



「グアア、ブワーーーー!!」


「アレが、スカルビーマーねっ! 燃えなさいっ!」


「攻撃が遮断されたっ!」


 頭蓋骨ゾンビである、スカルビーマーは、再び横凪に紫レーザーを放つ。


 しかし、奴の攻撃が当たる前に、マーリーンが何発か射った火炎魔法が、顔面に直撃した。



 これにより、ショーンの運転するテクニカルは無事に切り抜けられた。


 そして、ゾンビが押し寄せていると言うバリケードが見えてきた。



「ウオオオオッ! 突撃イイイイーー!」


「ウオオオオオオオッ! 爆発スルル…………」


「あ、自爆ゾンビだにゃあっ!」


「不味いっ! 野郎が来ると…………」


 ボンバー達が走る姿が見えたが、時既に遅く、バリケードは破壊されてしまった。


 ショーンとミー達は、それを眺めていたが、仕方ないので、テクニカルを走らせる。



「あの開いた穴から、入るぞっ! 中に入ったら、敵を押し留めるっ! 他の冒険者たちは、無事だろうか」


「つまり、防衛戦を展開するワケにゃっ!」


「マシンガンの弾なら、まだまだ、あるから充分に戦えるねぇ? 切れたら、ポイズンソードを振るうだけさ」


「この数を相手に、守備に回るのか? 波に飲み込まれなければいいが? もう爆弾や煙玉も少ないし」


 ショーンは、爆発で吹き込んだ木箱の残骸から、テクニカルを安全区域へと進ませる。


 ミーも、釘やボルトなどを右手に握り、車が停まると、敵に投げつけられるように準備する。



 車両が中に入るまで、フリンカは険しい顔をしながら、M2ブローニングから火を吹かせ続けた。


 懐に手を入れながら、スバスは敵の数が多いことを心配して、不安そうに呟く。



「お前ら、援軍かっ! 助けてくれえっ!」


「ギアアアア」


「あっ! お前たちは、朝のっ!」


「グオオッ!!」


「はやく、連中を撃ち殺せっ!!」


「喰らえっ! うらあっ!」


 トロールの冒険者は、フレッシャーを相手に棍棒を振るいながら、救けを求めてきた。


 黒人冒険者も、ジャンピンガーをベレッタで撃ち殺すと、テクニカルの方を見て驚く。



 他の自警団員たちも、ゾンビ達に止めるべく、射撃武器や白兵戦用武器を振るう。



 ルベル小銃を持ち、マンドラゴラの冒険者は、何度も弾丸を発射する。


 バックソードを頭上に掲げた、白人冒険者は、ジャンプしながら敵を叩き斬った。



「よし、着いたなっ! そうだっ! 戻って来たぜっ!」


「とにかく、今は敵を迎撃するんだにゃあっ!」


「さあて、撃ちまくるよっ!」


「取り敢えず、弓を射つっ! みんな、その間に降りろっ!」


 そう言いながら、ショーンは、テクニカルから飛び出し、トリップソードを鞘から抜き取る。


 ミーも、助手席から出てくると、ゾンビに対して、釘を投擲できるように構える。



 フリンカは、穴の向こうに見える様々なゾンビ集団に、機銃弾を浴びせてゆく。


 バリケードの上から飛んでくる、ジャンピンガーを、ワシントンは狩猟弓で射殺していく。



「そうだっ! これが残ってたんだっ!」


「正面の穴に、火炎魔法でカーテンを作るわよっ!」


「マーリーン、俺たちは海側を防御するぞ」


「ええ、そこからバリケードを越えてくる敵を狙いましょうっ!」


 スバスは、三個ある氷結瓶がある事を思い出して、それを全部、バリケードの向こう側に投げた。


 火炎魔法で、炎の壁を作って、リズはゾンビ達が侵入する事を防ごうとした。



 これは効果があったらしく、僅かな間だけ、群れが来なくなった。



 リオンは、マニューリンを発砲しながら、テクニカルの荷台から飛び降りる。


 それに合わせて、マーリーンも降りてから、一気に駆け出していった。

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