午前七時、俺は起床した。結局、深くは寝付けなかった。
「起きろ~」
俺は電気を点けた。ピンクの寝間着姿で眠そうに眼をこする
「……えっ」
赤い寝間着姿のトアリが居た。のだが、トアリはまるでエジプトのスフィンクスのような体勢をして、目を閉じて寝ていたのだった。
(ええええええええええええええええええ?)
なにこれ気持ち悪ぅ。
「あーもー」加藤は眠そうに立ち上がって「トアリさん寝ぞう悪いわね。ほら起きて」
「んー……」
ふあああああ……とあくびをしてから、そのスフィンクスのような体勢のまま体を伸ばしてから立ち上がった。
「はー、何だか砂漠に行っていた夢を見ました」
スフィンクスだしね。
「目からビーム出してピラミッドを破壊した夢を見ました」
スフィンクスだしね。
「あと羊が何匹も居て鬱陶しかったです」
それ俺が数えた羊じゃね? なんでリンクしてんの。
「奇遇ね」加藤が言った。「私の夢にも出てきたわよ。とても美味しかったわ!」
おまえかジンギスカン焼いてたドワーフ。こっちもリンクしてんのおかしいだろ。
「おまちどうさま~」
と、着物姿の旅館の人たちが朝食を運んできた。
「少々訳ありで羊のお肉がたくさん入荷しましたので、ジンギスカンでございます」
と、旅館の人たちはジンギスカン専用の鉄板と羊の肉を配膳していった。
(え、ええええええええええええええええ?)
ここもおおおお?
「どういうことか分かりませんが、大量に入荷しましてねえ。ドワーフが食べきれなかったとか何とか」旅館の人が言った。
何で夢と現実が全てリンクしてんの? これってそういう作品だっけ?
「まさか現実でも食べられるとはラッキーだわ!」加藤は嬉しそう。
おまえは変に思わないのか。
「ジンギスカンって癖になりますよねー。いっただっきまーす」
トアリもぉ?
え、これって俺がおかしいの?
俺のこれまでの人生間違ってた?
……まあそんなこんなでツッコミどころの多い不思議な朝食をとった。そして加藤は自分の部屋に戻った。
「さて、いよいよ奈良だな」
もうすぐ出発だ。
「ですね……。さあ、参りましょうか……汚染された大地に……」
奈良の人スミマセンねホント。
その後、トアリは深紅のフルアーマー状態になり、俺たちはバスで奈良公園に向かった。