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第81話 相互蘇生ペアを組む奴ら

 激動のHRが終わり、休み時間に入った。


 右隣に加藤、左隣にトアリ、そして背後に金剛力士像という魔王軍配置は継続。

 そんな中、


「なあ」


「そうだな」


「うん、学校の方針らしいし」


「見てくれとかで判断するのもダメよね」


「そーいうの良くないよね」


「ちょっと話聞きにいこうよ」


 等と、皆が転校生の金剛力士像に質問攻めをする雰囲気を出した寸前のことだった。


「それにしても、なかなか良い布陣ね! 安心してトアリさん! あなたが攻撃されそうになったら私が盾になるわ!」


 加藤は言った。皆がスンとこっちに来づらくなる。


 え、何? 何の話? 何が始まるの?


「やるじゃないですか律子りつこさん」トアリは言った。「ではHPが減ったら回復してあげますよ。瀕死になったら蘇生してあげます」


 何のことかと思ったら、さっそく相互蘇生ペア組みだしたよこの二人。やっぱ魔王軍結成してるよ。


「ありがとうトアリさん! 勇者どもの中に魔法使いが居たら任せて! 私がボコボコにするから!」


 なんで勇者パーティーが来た時の想定してんの?


「律子さん、相手が炎や吹雪の攻撃をしてきたときは盾にならなくても大丈夫ですよ。何せ私の防護服はそれらの攻撃を99・9%カットする性能がありますから」


 つえーな防護服。


「もちろん毒に完全耐性があります」


 つえーな防護服。


「麻痺、混乱、怯み、デバフ、即死、石化にも完全耐性があります」


 つえーな防護服。


「流石ねトアリさん! じゃあそのへんは任せたわ! 私はとにかく魔法使いが居たらボコボコにするから!」


 オマエは何でそこまで魔法使いボコりたいわけ?

 え、何かあった?


「ふっふっふ。オイラも負けてないでやんすよ」


 金剛力士像入ってきたよ。さっそくこの魔のサークルに参加してきたよ。

 コミュ力たけーな。


「昨日、騒動を起こしたお詫びに、オイラがこの先ずうっとキミたちのタンク役をするでやんす」


 タンク?

 てか騒動って何?(※城ヶ崎じょうがさきは金剛力士像が暴れた一件を知りません)


「まずはオイラが第一の壁となって、キミたちの前で盾になるでやんすよ」


 ほほう、とトアリと加藤が声を揃えた。


「オイラは物理攻撃にはちょっと弱いでやんす」


 歴史的建造物だしね。


「でも魔法や炎・吹雪攻撃を一切受け付けないし、ほとんどの状態異常に完全耐性。即死系完全耐性。更に魔法カウンター(魔法攻撃を受けたら相手に反撃する)、HPが減るごとに攻撃力、守備力アップ(永続)。HPが半分以下になったら自分以外の味方全員のHPを完全回復&全ステータスを二倍にする効果を持ってるでやんす」


 つよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。

 オマエ突破する前に勇者パーティー壊滅するじゃねーか。


「このパーティーのリーダーである城ヶ崎くんも高性能ですしね」


 トアリは言った。


「飛翔、増殖、回避、カサカサ移動をマックスまで高めた『漆黒の駒』である城ヶ崎くんなら、如何なる攻撃も当たりません」


 え、まだ続いてたの将棋の駒のクダリ?


「寒さには弱いですが(笑)」


 また笑っちゃってんじゃねーか。完全にアレと見なして話してるよね?

 気づかないとでも思った?


「す、凄いでやんす兄貴! 流石は魔王兼Gでげす!」


 誰が魔王兼ゴキブリだ。来たばっかで俺のことイジるんじゃねーよクソボケ金剛力士像。てか兄貴って何?


「何で! 何で城ヶ崎くんだけGになれるの! 私もGってことにして!」


 加藤は何でそこまでしてGになりたがるの?

 課外授業ん時もそうだったよね?

 なんかあんの?


「前にも言いましたが、律子さんはGの域には達していないので」


「ちっくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 うるせえよ。そこまで悔しがるほどの価値はねえよ。


 てか今、転校生(金剛力士像)に質問攻めするべき時間だろ。

 何でクソしょーもないやりとり始めたのキミら?


 皆、話に入りづらくて質問出来なくなってんじゃねーか。

 そもそも勇者パーティーとか来ないからね?


「仕方ないわ! この悔しさは魔法使いをボコボコにすることで発散するわ!」


 だから何でオマエは魔法使いをボコす担当やりたがるんだっつの。


「ちょっと用があるから生徒会室に行ってくるわ!」


 言いつつ、加藤は立ち上がった。


「勇者パーティーが来たら校内放送で伝えるから安心して!」


 来ないから。


「もしかしたら、もうすぐ来るかもしれないしね! それじゃあ!」


 と、加藤は勢いよく教室を出ていったのだった。


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