「さて金剛力士像くんの席を決めようかと思うんだけど、何処が良いかしら……」
岩田先生は少し考えてから、アッと声を出した。その視線は、明らかに俺の方角を指している。
まさかね……。
「丁度良いところがあるじゃない。じゃあ金剛力士像くん、あなたの席は
やっぱな、やっぱな。
てか丁度いいってどのへんが? ますますキャラの渋滞が起こるんですが?
「せ、先生、城ヶ崎くんって?」
金剛力士像は岩田先生に問う。
「城ヶ崎くんっていうのは、極悪非道六神獣及び魔王よ」
極悪非道六神獣及び魔王よって何?
そんな説明じゃ分からないから。金剛力士像くん来たばっかだから。
「なるほど、あの人でやんすね!」
金剛力士像はハッキリと俺の方を見た。
なんで分かるんだよ。
今の説明のどこに俺の要素があったんだよ。
「先生! 生徒会室から机と椅子を持ってきましょうか?」
加藤が叫ぶように言うと、岩田先生は「そうね」と答えた。
しかし、
「あの、オイラには席とか必要ないでやんすよ」
金剛力士像は言った。
「遠慮しなくても良いのよ?」岩田先生はすかさず言った。「それに、生徒に立たせて授業を受けさせることなんて出来ないわ」
「いやー、その気持ちはありがたいでやんす。でも座ったりして体を曲げた状態を続けると、過去に刻まれしヒビが広がってオイラの身が危ないでやんす」
そりゃ歴史的建造物だしね。
ツッコミてえ……。
それがなんで動いたり喋ってんだっつーのってツッコミてえええええええええええええええええええええええええ。
「なるほど、そういうことなら仕方ないわね。じゃあ金剛力士像くん、城ヶ崎くんの後ろに行ってちょうだい」
「は、はい!」
金剛力士像は緊張した様子で俺の方に歩き出した。
ドスン、ドスンと、さっきより小さくなった足音で移動して……。
「ああ、その辺で良いわよ金剛力士像くん」
「は、はい」
ドスン、と、金剛力士像は俺の約一メートル背後で仁王立ちした。
俺の右隣には、常にうるさい系女子の
左隣には、超潔癖症でフルアーマー系女子のトアリ。
そして背後に……金剛力士像の金剛力士像が立つという配置になった。
(え、ええええええええええええええええええええええええ?)
なにこの魔の配置?
俺たち完全に魔王側の軍団だよね?
マジで一軍男子どころか魔王軍男子になったんだけど。
伝説の勇者でもそうそう突破できないよこの布陣。
この中に一組は相互蘇生ペア居る感じだよ。
倒す順番間違えたら詰むやつだろゼッテー。